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平安時代初期における神話・歴史記述の再編と社会的位相についてのテクスト研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K18690
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0102:文学、言語学およびその関連分野
研究機関桃山学院大学

研究代表者

星 愛美  桃山学院大学, 共通教育機構, 共通教育機構講師 (10977466)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード上代文学 / 日本文学 / 先代旧事本紀 / 古語拾遺 / 注釈 / 住吉大社神代記 / 神話
研究開始時の研究の概要

平安時代初期、『先代旧事本紀』『古語拾遺』『住吉大社神代記』『上宮聖徳法王帝説』などの新たな神話・歴史記述が盛んに編纂された。これらの書は『日本書紀』の影響を強く受けているにも関わらず、しばしば書紀とは異なる表現・形式を採用する。本研究は、これらの神話・歴史記述を対象に詳細なテクスト分析を行うものである。具体的には、①テクストデータを作成し、②書紀本文との校合、③独自本文の表現・記述形式の調査を行い、各書に共通する表現・形式上の特徴を明らかにする。この分析を通して、政治的・文化的に変革期を迎えていた平安時代初期の社会において、神話・歴史記述が果たした役割を探っていく。

研究実績の概要

本研究は、平安初期に『日本書紀」の影響を強く受けて成立した『先代旧事本紀』『古語拾遺』『住吉大社神代記』などの神話・歴史記述について、これらに共通する表現・形式上の特徴を明らかにすることを目的として詳細なテクスト分析を行うものである。本年度は、以下の2点について研究を進めた。
①対象とする「神話・歴史記述」のテクストデータ作成
本研究では最終的に『先代旧事本紀』十巻、『古語拾遺』一巻、『住吉大社神代記』一巻について、底本の改行箇所等、形式面の特徴も反映させたテクストデータを作成することを目標にしている。本年度は上記のすべての書について、基礎的なテクストの入力がおおよそ完了した。次年度は大学院生アルバイトを雇用して異同や形式面の特徴の反映、データ形式の整備を進めていく予定である。
②『先代旧事本紀』の表現・形式面の特徴の精査
本研究で主に取り扱う『先代旧事本紀』について、表現や形式面の特徴の精査を進めた。特に、これまで先行研究が触れてこなかった改行・字下げの様相を取り上げ、複数の写本を実見したうえでその特徴と意義を究明することに注力した。この成果は学会にて発表し、その成果をふまえてまとめた論文も学会誌に投稿中である。次年度は他の作品についても同様に形式面の調査を行い、作品間の関連性を探っていく予定である。
また、表現面の特徴として、『先代旧事本紀』の注釈的記述の特徴を探り、成果をまとめた論文を投稿した(掲載確定)。注釈的記述には述作者の意図が特によく現れるため、重点的に検証を行う必要がある。次年度以降は他の作品についても同様に注釈的記述の精査を行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の本研究の進捗状況を「おおむね順調に進展している」と評価する。理由は以下の通りである。
①対象とする「神話・歴史記述」のテクストデータ作成については、調査対象各書について、刊行されている影印本を入手できたこと、写本を実見する機会に恵まれたことによって、スムーズに入力作業を進めることができている。特に『先代旧事本紀』については、書入や改行等、底本の特徴をデータに反映させる作業に移行できている。
②『先代旧事本紀』の表現・形式面の特徴の精査については、これまで行ってきた研究を発展させる形で新たな成果を出すことができた。本年度特に着目したのは『先代旧事本紀』本文内の夥しい改行・字下げである。分析の結果、字下げは前文に対する注釈的記述を示すものであることが明らかとなった。この研究成果が今後の『先代旧事本紀』の解釈に与える影響は極めて大きいといえる。また、本文内の『日本書紀』利用部にみえる「今」という語に着目し、これが注釈の型を創出するために活用されていることを明らかとした。
上記の調査・分析について、『先代旧事本紀』以外の書については同様の調査がまだ十分にできていないため、今後進めていく必要があるが、初年度としてはおおむね順調に成果を出すことができたと判断できる。

今後の研究の推進方策

次年度は、以下の2点を軸として研究を進めていく予定である。
①テクストデータの作成
対象諸書のテクストデータ作成を進めていく。具体的には、大学院生アルバイトを雇用して誤入力の修正、本文の異同や形式面の特徴の反映、データ形式の整備を進めていく予定である。
②対象諸書の表現・記述形式の精査
対象諸書について、特に本文中の『日本書紀』利用部について、『日本書紀』本文との比較、表現・記述形式の特徴の精査を行う。現段階では『先代旧事本紀』についてはいくらか調査が進んでいるので、同様の手順で他書についても調査を行い、対象書間での比較も行いたい。
テクストの形式については、写本の系統や本文の内容の影響も大きいため、『古事記』『日本書紀』等の卜部系諸本や太子伝等の周辺資料についても比較調査を行う必要が出てきた。当初の研究計画では、独自本文についても調査を進める予定であったが、まずは周辺資料との関係性を明らかにすることが重要であると考え、この調査を優先して行っていくこととする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 『先代旧事本紀』の注釈態度ー「今」字に着目して2024

    • 著者名/発表者名
      星愛美
    • 雑誌名

      古代学・聖地学

      巻: 13 ページ: 1-9

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 卜部兼永筆『先代旧事本紀』における改行・字下げの様相―三貴子は三度生れたか―2023

    • 著者名/発表者名
      星愛美
    • 学会等名
      萬葉学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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