研究課題/領域番号 |
23K18699
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷本 隆之 東京大学, 史料編纂所, 助教 (70982362)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 日本中世史 / 流通経済史 / 都市社会史 / 商人 / 問屋 / 流通経済 / 京都 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中世の商人組織の実態解明を目的とする。近年の中世流通経済史の研究は貨幣や金融、海運の分野を中心に進展を見せている。しかし、中世の商人組織については1970年代までに確立された「座商人」論の枠組みが未だ通説的地位を占めているため、隣接分野の研究成果との間に齟齬を来たし、中世流通経済史の全体像を描く上での支障となっている。本研究では商人の生業や所有、権利のあり方と商人の組織との関係に着目して新たな商人組織論を展開し、商人組織の研究とその他の分野の研究成果との間に議論の回路を開くことを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、商人の生業や所有、権利のあり方と組織との関係に着目して、日本中世の商人組織の実態解明を進め、中世流通経済史分野で近年進展を見せている貨幣や金融、海運等の諸分野と商人組織研究との間に議論の回路を開くことにある。今年度は以下の研究を遂行した。 ①戦国期の京都で活動した長坂口紺灰座の関係史料を主たる素材として、座組織の展開を権利所有の観点から考察した。その結果、応仁の乱を経た京都の空間構造・流通構造の変質が商人の営業権のあり方に変化をもたらし、その変化が戦国期における座の形成の動因となったとの知見を得た。以上の成果について、口頭報告を行うとともに論文を執筆し、現在投稿中である。 ②戦国期京都の商業・金融に関する史料の分析を通じて、商人や金融業者の権利・動産所有と彼らのネットワーク形成との関係を考察し、その成果をもとに口頭報告を行った。この論点についてはなお検討が必要であり、次年度の継続課題とする。 ③室町・戦国期京都の商人に関する史料の収集につとめ、国立公文書館、京都市歴史資料館での調査を行った。中世京都における商人組織の代表的形態である「座」は、16世紀末に多くが消滅することが知られている。一方で同時代史料がごく限られているため、その消滅過程は未解明の部分が多い。そのため、本年度の後半からは17世紀以降の史料にも調査の対象を広げ、近世商人の系譜や伝承から16世紀後半の中世商人の組織や結合の実態にせまる方途を模索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り研究会において2度の口頭報告を行い、論文の執筆・投稿によって成果公開に着手した。また関西方面での資料閲覧および調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
商人や金融業者の権利・動産・不動産所有と彼らの組織やネットワークとの関係について、分析を進める予定である。また17世紀以降の史料も含め、京都および畿内商人の関係史料の収集と分析を継続する。
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