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近世以降の鐘の鋳造技術と日韓混交型式の定着について

研究課題

研究課題/領域番号 23K18721
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
研究機関福岡大学

研究代表者

大重 優花  福岡大学, 人文学部, 助手 (10986558)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
キーワード梵鐘 / 半鐘 / 日韓混交型式鐘 / 久留米藩鋳物師 / 藩を越えた技術共有 / 継ぎ中子法 / 鋳物師 / 鋳造技術
研究開始時の研究の概要

「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録後、江戸時代以前の在来技術が果たした役割の大きさが注目されている。西洋近代技術の粋である幕末の新式大砲の国産化は、梵鐘の伝統技術の応用だったことが、近年の研究で明らかにされた。しかし、その基盤となる梵鐘製作技術の解明はいまだ途上にある。
申請者は、近代大砲の国産化の基礎となった近世の梵鐘鋳造技術の解明のため、梵鐘実測図を作成する。その方法は、デジタルカメラで撮影した高画素写真に基づく三次元画像化(フォトグラメトリ)である。この作業で近代大砲との比較検討だけでなく、地域の文化財指定の進展や地域おこし、今後の考古学や金工学・工芸学研究の基礎となる道筋をつける。

研究実績の概要

2023年度は、北部九州の各地域ごとに、先行研究や資料の分布・残存状況を確認した。その中でも特に旧・久留米藩域は、久留米郷土研究会によって史料の翻刻が精力的に行われており、文献史料からも鋳物師の動向が追えそうである。また、愛媛大学アジア古代産業考古学研究センター(AIC)主催のワークショップでの検討の結果、過去の発掘調査で久留米城下町の鍛冶炉跡とされていた遺構は、鋳造の際に使うこしき炉跡の可能性が高いことが判明した。つまり、従来不明であった久留米城下町での鋳物師の活動の痕跡を発見できたわけである。これらのことから、久留米藩鋳物師については、戦時供出により残存数の少ない梵鐘・半鐘などの製品からだけでなく、文献史料や遺構・遺物を交えた複合的・多面的な検討が可能となった。ワークショップの際、久留米市の主担当だった文化財保護課の長谷川桃子氏や小澤太郎氏・白木守氏とは、今後、久留米藩鋳物師の解明に向けて調査協力していくことを話し合った。
久留米市内では、植木昌尚が製作した無量寺の半鐘を実見・調査した。無量寺の半鐘は日韓混交型式であり、その様式や乳座などにみえる文様は佐賀藩の樹(植木)姓鋳物師のそれと共通することがわかった。中子の造形方法は、博多(芦屋)鋳物師に特有で、佐賀藩鋳物師が製作した日韓混交型式鐘にもみられる「継ぎ中子法」である可能性が高い。中子造型方法については、資料の調査数を増やして、更に検討を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度で、北部九州の各地域ごとの先行研究や資料の分布・残存状況はおおむね確認・整理することができた。また、愛媛大学アジア古代産業考古学研究センター(AIC)主催のワークショップにおいて、久留米城下町で鋳物師の活動の痕跡を発見できたことは、大きな成果であった。

今後の研究の推進方策

現地での悉皆調査と並行して、銘文や文献史料の読み解きを行う。また、久留米市文化財保護課と協力して、過去の発掘調査成果の見直しや再検討を行う。久留米藩鋳物師を複合的・多面的に検討することで、職人の藩を越えての繋がりや情報共有の有無といった社会的な特質を明らかにしたい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 近世以降の鐘の鋳造技術と日韓混交型式の定着2024

    • 著者名/発表者名
      大重 優花
    • 雑誌名

      月刊考古学ジャーナル

      巻: 792 ページ: 36-39

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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