「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録後、江戸時代以前の在来技術が果たした役割の大きさが注目されている。西洋近代技術の粋である幕末の新式大砲の国産化は、梵鐘の伝統技術の応用だったことが、近年の研究で明らかにされた。しかし、その基盤となる梵鐘製作技術の解明はいまだ途上にある。 申請者は、近代大砲の国産化の基礎となった近世の梵鐘鋳造技術の解明のため、梵鐘実測図を作成する。その方法は、デジタルカメラで撮影した高画素写真に基づく三次元画像化(フォトグラメトリ)である。この作業で近代大砲との比較検討だけでなく、地域の文化財指定の進展や地域おこし、今後の考古学や金工学・工芸学研究の基礎となる道筋をつける。
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