研究課題/領域番号 |
23K18727
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 佑実 北海道大学, 文学研究院, 助教 (70979608)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | フィンランド / サーミ / 芸術 / アート / 手工芸 / 樹木 / 森 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では白樺のこぶから作られるカップ、フィンランドの手工芸「ククサ(kuksa)」/北サーミ語で「グクシ(guksi)」を通して「自然と文化」の文化的、国際的なネットワークと森の姿を描き出す。「ククサ」から見えてくるものは、過去から引き継がれ今に至るフィンランドの森の姿であり、そこから派生する国際的なネットワークと時代に適応していこうとする人々の工夫である。
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研究実績の概要 |
採択からの約半月は文献収集と本研究の位置づけを明確にするところまでを行なった。本研究は美術史と人類学を横断する点が特色だが、改めて北方先住民サーミに深く関わる手工芸duodjiを扱うことの重要性を実感している。日本における先住民アートに関する研究は北西海岸先住民またはオーストラリアのアボリジニのアート、アイヌのアートを扱ったものが多い一方で、サーミに関するアートの記述は研究の蓄積が十分とはいえない。本研究は単に手工芸の話に留まらず、より広い概念としてのアートやその複数性について考察するものでもある。 現段階の研究実績は、これまでの西洋中心的に語られてきた美術史と先住民アートの歴史的な系譜を辿るとともに、フィンランド語で「ククサ/kuksa」、北サーミ語で「グクシ/guksi」と呼ばれるフィンランドとサーミの両方にまたがる伝統的な白樺のこぶで作るカップから眺めた際に現れる自然-文化的な問題を指摘したことにある。今後は指摘した問題の実態をフィールドワークでの情報とともに描き出すことに努める。 これまでの具体的な研究実績として、2023年12月にはフィンランド・スウェーデン研究者らによる研究会で本研究について発表させていただき、研究遂行に関するアドバイスを頂いた。また本研究については、今年度7月に行なわれる日本国際文化学会で発表予定であるとともに、今年度の『北方人文学』に論文として投稿予定であり、現在原稿を執筆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2024年の夏のフィールドワークを予定しているため、現在はその準備期間である。サーミのアートに関する歴史的な流れや他の先住民アートとの比較をおこなった上でフィールドに赴くことができそうである。 また今年度から学術変革領域研究の研究協力者として参加させていただくことが決まり、情報交換や自身の研究推進に役立てそうである。
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今後の研究の推進方策 |
今後はフィンランドのイナリを中心としたフィールドワークを通して、現在見えているサーミの手工芸duodjiを取り巻く実態を調査する。2024年9月にフィールドワークを予定しており、再度イナリの職業訓練学校を訪問し、duodjiという独自の概念や制作の工程について話を聞きたい。また人類学者や現地の森林に精通した研究者らとのコンタクトをとり、現在のフィンランドの森の状況やグローバルな林業のネットワークについて話を聞く予定である。また2024年9月のフィールドワークではノルウェーやスウェーデンのサーミコミュニティーにも足を延ばし、各国のサーミやアートについて知見を広めたいと考えている。 今年度は研究協力者として参加する学術変革領域研究を通して自身の研究内容をブラッシュアップさせながら、来年度にはフィールドワークの情報をもとに発表や論文という形で報告を行なう。
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