研究課題/領域番号 |
23K18744
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
柴田 竜太郎 一橋大学, 大学院法学研究科, 特任講師(ジュニアフェロー) (10979272)
|
研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 与党内組織 / 議院内閣制 / 憲法 |
研究開始時の研究の概要 |
国会の与党議員(以下「与党議員」)は、統治機構において重要な役割を果たしている。しかし、こうした与党議員が統治機構においていかなる役割を果たすべきかについて、憲法学上の議論は深まっていない。こうした問題に対し、本研究では、与党議員の置かれている政治的構造、特に与党内組織に着目する。そして、平成の統治機構改革のモデルでありながら、議会内で政府に対する与党議員の造反行為が頻繁にみられるという点で対照的なイギリスにおける与党内組織と比較し、日本における与党内組織の統治機構における位置づけを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、大きく以下の4点を遂行した。第一に、本研究課題の研究対象である与党内組織及び衆議院解散権の関係につき分析した。そこでは、現在では衆議院解散権は「首相の専権事項」などと称されるものの、与党内組織のありようによってそれが行使しうるかは可変的であることが確認された。こうした成果は2024年3月の日英憲法セミナーにて英語報告として公表し、報告内容を踏まえ、コメンテーターであるマイケル・ゴードン氏(リヴァプール大学教授)、クリス・マコ―キンデル氏(ストライクライド大学講師)の両氏を中心に有益な議論をすることができた。 第二に、与党内議員の議会における造反のありようと意思決定方法の関係につき、イギリスのEU離脱時における保守党の様相から分析した。そこでは、イギリスのEU離脱協定の内容につき平議員を中心とした意思決定が志向されたものの、投票方法に対する考慮不足から有益な決定を下せなかったことが示された。その結果は論文として、一橋法学(査読付き)2023年11月号に公刊された。 第三に、議会内における平議員の造反可能性につき、日英両議会の議院規則の比較検討を行った。本検討結果については、2024年度中に論文として投稿予定である。 第四に、与党内組織における与党平議員の自律性を検討すべく、イギリス保守党における平議員組織である1922年委員会の歴史・構造・政府への影響力につき、文献収集と調査を進めた。当該調査を踏まえた検討結果については、2024年度中に論文として公刊すべく準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。 第一に、2023年度は与党内組織を中心に、与党平議員の自律性を巡る考察を進め、査読付き論文や英語報告としてその成果を公表することができたからである。特に、イギリスのEU離脱時における平議員の造反や意思決定過程を子細に分析した点で、2023年度の分析結果には大きな独自性が認められる。 第二に、与党内組織の構造につき資料収集と分析が着実に進んでいるからである。具体的にはまず、平議員の議会内における自律性につき議院規則の比較検討を行い、イギリス下院においては平議員の造反可能性が日本のそれより高いのではないかという仮説を抱くに至った。次に、1922年委員会の構造等につき文献調査が進展している。以上二点については、2024年度中の研究成果の公表を予定している。 以上の理由から、上記のように評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、以下のように研究を推進させたい。 第一に、平議員の議会内における自律性につき日英比較を行った研究成果を、論文として公刊したい。これにより、本研究の目的とする与党内組織の考察と議会内における平議員の自律性の関係を考察することができ、本研究課題の研究対象をより多面的に理解することができる。 第二に、イギリス保守党1922年委員会の構造等につき、更に分析を深めたい。そのために2024年度中に渡英し、さらなる資料収集及び関係者へのインタビューを行う予定である。これにより、イギリスにおける与党内組織の実態を解明し、その分析結果を論文として公刊したい。 以上を通じ、本研究課題の研究目的を達成できればと考えている。
|