国際法学は従来、国連人権条約における一般的意見の作成者が条約機関だけであるとの前提に立ってきたため、NGOといった国家以外のアクターが一般的意見作成過程に関与していることを十分に検討してこなかった。しかし、こうしたNGOの関与は、特定のテーマに関する人権条約で顕著である。他方で、一般的意見はガイドラインに過ぎず、また民主的アカウンタビリティーといった問題から、国家による受容も一様でない。本研究は、非公式的国際立法の理論枠組みを修正しつつ、テーマ別人権条約に設置された条約機関による一般的意見を素材に、一般的意見作成へのNGOの関与から国家による一般的意見の受容に至る動態的プロセスを描き出す。
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