研究課題/領域番号 |
23K18754
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
森 綾香 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (70979525)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 意匠法 / 著作権法 / 不正競争防止法 / 知的財産法 / デザイン / 仮想空間 / メタバース / 物品 |
研究開始時の研究の概要 |
日本意匠法では、具体的な物品の用途・機能が伴わないような単なるデザインの外観は保護されておらず有体的な物品が画する限度でのみ保護が及ぶのが現状である。他方、欧州は物品の機能・用途が発揮されていない意匠の外観のみについても一定の保護を行っており、また米国は物品概念ではなく意匠公報中のクレーム文言を解釈することで意匠の保護範囲を決定するという日本と根本的に異なる制度を有している。本研究は、これらの外国法の制度やその背景を分析して示唆を得るほか、周辺法である著作権法や不正競争防止法等との調整も含めた横断的考察を行うことで、現在の物品中心主義的な日本意匠法を相対化した視点で分析するものである。
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研究実績の概要 |
本研究計画全体の流れとして、①米国意匠におけるクレーム制度の中、物品を伴わないデザインの抽象的な外観を如何なる制度で保護しているか/していないのか、及びそのような制度をとる根拠論や背景等を明らかにする、②意匠の抽象的保護を行う欧州の制度の分析及び日本法への示唆の考察を行う、③日本法における意匠法と周辺法の関係性の整理を行う、との予定であった所、本年度(1年目・2023年度後期)は①の段階にあり、米国意匠制度の調査を行なった。具体的には、主に、米国において意匠特許のクレーム中の製造物品の記載が問題となった事案について、調査対象とした裁判例で引用された過去の判例も含め、複数の判決文中の重要箇所の翻訳と整理を一通り完了させ、日本の物品の類似性の範囲が問題となった裁判例における実例との比較分析・検討を行なった。 また対外的な研究実績としては、交付開始から半期の経過した現在時点において、未だ論文の形で成果をまとめ、公表するに至ることはできていない。しかしながら、南アフリカ共和国(ナタール大学)にて開催された「法と技術」をテーマとした国際研究会において、仮想空間と意匠法を題目として研究発表を行い、そこで他の参加者から有益な助言を頂く機会を得たほか、ドイツにおける応用美術に関する論文の翻訳を公表(また、それに関連して本来2年目前半に行うことを予定していた欧州に関する調査を一部先行して実施)することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目前半に予定していた欧州における意匠法制度の調査を一部先行して行なったり、米国法に関して追加的検討(後述)の必要が生じたりしたこととの関係上、1年目に完了予定であった米国法の調査を終了することができたとは必ずしも言えない状況にあり、計画の一部に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、概ね上記の①ないし③の計画通り、2年目である2024年度の前期には欧州に関する調査(日本や米国よりも著作権的な保護に比較的親和的と言える欧州の意匠制度が辿った歴史的経緯・現状の調査をEU法及び各国法のレベルで行い、さらに物自体の機能性に重きを置くデザイン思想であるバウハウス等の意匠制度に対する影響がなかったのかなど法学分野に留まらない調査も試みる)、後期には意匠法の周辺法との関係における分析(著作権法については、意匠法との重畳的適用が論点となる応用美術の議論や意匠にはない強力な著作者人格権に関する問題、また、不正競争防止法については、保護期間や規制可能な行為類型などに関する意匠法との差異などを踏まえた上で、それぞれの法の間で行うべき役割分担に関する検討を行う)を進める予定である。 さらに、1年目にて積み残した課題として、米国につき、意匠特許に加えて米国商標法・トレードドレスの議論に関する追加的調査・検討の必要性が生じたため、そちらも同時に遂行する。 また、海外の研究機関等に短期滞在しての調査も予定している。最終的には、2年目後半の間に研究成果を論文の形式でまとめ、公表する予定である。
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