研究課題/領域番号 |
23K18759
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
細川 真由 金沢大学, 人文学系, 講師 (70981364)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 国際仲裁 / ヨーロッパ国際秩序 / 戦間期 / フランス外交 / 万国平和会議 / 戦争違法化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦争違法化と国際仲裁が進展した19世紀末から戦間期までの時期において、国際紛争解決システムがどのように構築され、また、ヨーロッパ国際政治においていかなる意義と限界を有していたのかを明らかにするものである。具体的には、国際仲裁および司法的解決を通じた紛争の平和的解決の制度化へのプロセスを、各国政府の外交レベルで明らかにするとともに、その重要な思想的・社会的背景としての、ヨーロッパにおける知識人のトランスナショナルな国際仲裁支持運動の様相を、一次史料の分析を通じて解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、19世紀末から戦間期において発展した国際紛争の平和的解決システムについて、フランス政治外交史を縦軸に、国際法史・国際関係思想史を横軸に据えるという独自の視点から、そのヨーロッパ国際関係史上の意義と限界を解明することにある。この目的を達成するために、研究期間第1年目となる2023年度は、19世紀後半から第一次世界大戦勃発(1914年)までの時期を対象に、国家間紛争の平和的解決に関する諸構想や、国際仲裁支持の運動に関する先行研究の分析、および一次史料の収集を実施するとともに、フランス政府による外交的実践の様相を明らかにすることを試みた。 まず、国際紛争の平和的解決に関する構想について、先行研究の分析を行うと同時に、フランス国立図書館、およびパリ・ナンテール大学現代史史料館のデジタルアーカイブを活用し、オンラインで国際仲裁支持運動に関する史料の収集・分析を継続して実施した。その結果、19世紀末から20世紀前半を分析の中心としつつも、17世紀ごろまで遡り、より長期的な視点から、国際仲裁の発展過程をとらえる必要があることが明らかとなった。 次に、フランス政府による外交的実践に関しては、1899年および1907年の万国平和会議における、国際紛争平和的処理条約に至るプロセスを解明すべく、2024年2月に、フランス外務省外交史料館において関連史料の調査・収集を実施した。その中で、フランス外務省内に置かれた法律顧問の活動に着目することが、当該時期の国際法、国際仲裁の発展の様相を解明するうえで、重要であることがわかった。より具体的な内容については、今後、収集した史料の分析を行い、明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属機関変更に伴い、本研究課題の申請の際から、研究環境が大きく変化した。新所属機関には専任教員として着任したため、2023年夏から秋にかけて、教育業務に特に多くの時間を割く必要が生じ、2023年夏に予定していた史料調査を中止せざるを得なかった。しかしながら、先行研究およびオンラインで入手可能な一次史料群の分析を中心に、研究を継続し、前に取り組んでいた研究課題と、本研究課題の接合を図った。その成果は、2023年11月の日本国際政治学会2023年度研究大会において、口頭報告という形で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度末には、新たな所属機関での研究環境が整い、予定通りに史料調査を実施することができた。2024年度には、一次史料の収集と分析により多くの時間を割くことが可能になるであろう。そして、2023年度に先行研究の分析を進められたこと、また、それを通じ、17世紀から20世紀というより長いスパンで国際仲裁の発展過程をとらえる必要があると明らかになったことから、今後いっそう広い視野をもって研究を進められると考えられる。
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