研究課題/領域番号 |
23K18761
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
周 源 神戸大学, 法学研究科, 助手 (80980581)
|
研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 選挙権威主義 / クォータ制 / 女性の権利 / テキスト分析 |
研究開始時の研究の概要 |
先行研究においては、権威主義国家の指導者が国際社会からの独裁体制への非難を回避するため、女性の権利改善に取り組むことがあると指摘する。しかし、このような取り組みは、往々にして表面的なものであり、女性の権利に実質的な改善をもたらさない場合も多い。本研究は、選挙権威主義体制におけるクォータ制(政党に一定数の女性候補者の擁立を課す制度)の導入を、独裁者が国際的な圧力を回避するための手段と捉える。具体的には、クォータ制の導入は1)国際社会からの名指し非難を減らすことができる、2)女性の社会的・経済的権利の改善につながらない、という2つの仮説を検証する。
|
研究実績の概要 |
本研究の課題は、選挙権威主義体制におけるクォータ制が、ジェンダー問題の実質的な効果がなくても、国際的な非難をそらす効果について、実証分析より明らかにする。具体的には、選挙権威主義体制において、クォータ制の導入は1)国際社会からの名指し非難を減らすことができる、2)女性の社会的・経済的権利の改善につながらない、という2つの仮説を検証する。研究手法においては、人権に関する大規模なテキストデータへの自動内容分析により、独自の名指し非難の指標を構築し、そして多国間統計分析手法を用いて仮説の検証を行う。 2023年度の研究では、主に国-年度レベルで人権問題に関する非難スコアの構築に焦点を置いた。このプロセスには、アムネスティ・インターナショナルと米国国務省から発行される人権レポート、ワシントン・ポストに掲載される人権関連の記事、人権非政府組織(NGO)がソーシャルメディアに投稿した内容の広範囲な収集が含まれた。分析対象からは、人権NGOのソーシャルメディア投稿の大部分が非難に直接関連しないものと判断され、除外された。収集したテキストデータには、潜在意味スケーリング(Latent Semantic Scaling)モデルを適用し、各国の人権状況に対する国際社会の非難を数値化する作業が行われた。この数値化プロセスを通じて、人権問題における名指し非難を測る新たな指標が構築された。この指標は、本研究の従属変数の一つとして機能し、人権状況の国際的な認識を定量的に評価する手段を提供する。この新たに構築された指標を用いて、他の変数を集め、初期的な回帰分析を実施した。分析の結果は2024年4月、アメリカ合衆国サンフランシスコで開催される世界国際関係学会(ISA)で発表された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、本研究で使用するアムネスティ・インターナショナルと米国国務省から発行される人権レポートは、以前の研究で既に収集されていた。また、人権問題における名指し非難を広く捉えるため、ワシントン・ポストに掲載される人権関連の記事や人権非政府組織(NGO)がソーシャルメディアに投稿した内容も収集された。これらのデータを詳細に調査した結果、人権レポートとワシントン・ポストのデータを主に使用することに決定された。テキスト分析は順調に進行し、名指し非難の指標が構築された。また、初期的な回帰分析も行われ、得られた結果は仮説と一致した。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度には、ISAで得られたフィードバックを基に分析モデルの改善とロバストネスチェックを行い、研究結果の正確性を高める予定である。さらに、改善された研究結果を論文にまとめ、ヨーロッパ政治学会(EPSA)での研究報告を通じて新たなフィードバックを受け取ることになる。その後、修正を加えた論文を国際的な学術誌に投稿する計画である。
|