研究課題/領域番号 |
23K18762
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
波照間 陽 成蹊大学, アジア太平洋研究センター, ポストドクター (80980614)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 基地政策 / 前方展開 / 再配置 / 脅威認識 / 同盟 / 国際関係論 / 安全保障 |
研究開始時の研究の概要 |
米国の安全保障政策の支柱である海外米軍基地は、受入国からの米軍撤退要求に直面することがある。その際、なぜ、どのような条件で米国の政策決定者は基地の閉鎖に合意するのか。先行研究は受入国の国内政治に直接的要因を見出し、基地や同盟に関する米国の選好を分析の対象外としている。本研究は米国の視点、特に脅威認識、同盟、基地の関連性及び基地の代替可能性に焦点を当て、冷戦終焉前後に生じたヨーロッパとアジアにおける基地閉鎖合意の事例研究を通して、その要因・過程を明らかにする。国内問題として扱われがちな基地問題を戦略・軍事的観点から捉え直し、米国の海外基地政策の変化について全体像を理解する点で意義がある。
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研究実績の概要 |
2023年度の主要な研究実績は米国での資料調査である。80年代後半から90年代前半にかけてのスペイン、フィリピン、沖縄の基地閉鎖合意の事例について、テキサス州カレッジステーションに在るジョージ・H・W・ブッシュ大統領図書館とカリフォルニア州シミバレーに在るロナルド・レーガン大統領図書館にて、公文書調査を行った。「公開」と表示されている関連フォルダを事前にインターネットで確認して各図書館を訪問したが、基地交渉に関する情報を内包すると思われる文書のほとんどがFOIAの請求後も公開免除となっていた。閲覧することができなかったものの、資料の(非)公開状況を確認することも重要な成果であった。機密扱いになっている資料の他にも、周辺のボックスやフォルダを悉皆的に調査することにより、断片的な新情報を入手することができた。それは、スペインやフィリピンとの基地閉鎖合意前に米国が、その後移転を引き受けることになる第三国と面会していた記録であり、それらから基地の処遇に関する問題について意見が交わされていたことが確認された。これは、本研究の仮説である「代替性の確保」を裏付けるために必要な資料の一つとなる。 この資料調査の成果を次年度初めに国際会議で口頭発表するため、ペーパーの執筆・報告の準備を行った。その内容はスペインとフィリピンの事例研究である。両事例は、受入国の民主化を背景とした基地閉鎖要求という点で類似性があり、ソ連崩壊・冷戦の終焉を挟んで外的脅威が変化したという相違点があるため、米国の基地閉鎖合意に対する、米国の脅威認識や基地の重要性という変数の影響を検証することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の3つの課題(a)当時の国際情勢及び外的脅威に関する米国の認識、(b)争点の基地に関する米国の認識、(c)移転先となる国との交渉開始時期について、先に述べた米国での資料調査で、(c)を解明する証拠の一つを得た。また、(b)を示唆する公文書が非公表であることを確認したため、二次資料を再調査する必要がある。 当該年度の後期に非常勤で初めて担当する授業が1コマ増えたため、その準備のために想定以上に時間が取られてしまった。そのため(a)については十分な調査を進めることができなかった。次年度には新規の講義はなく、授業準備にかかる時間も大幅に減少するため、本研究にかける時間を確保して調査と執筆を進める。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は二次資料を中心に調査を進めつつ、研究成果を発表していく予定である。2024年4月のInternational Studies Association (ISA)年次大会での口頭発表をベースに、スペイン及びフィリピンの事例について研究成果の一部を英語論文として発表する。また、沖縄の事例については『防衛学研究』に論文を投稿する予定である。 課題(a)(b)については二次資料を精査した上で、米国立公文書館(ワシントンDC)にて国防総省及び国務省のアーカイブを中心に資料調査を実施する。
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