研究課題/領域番号 |
23K18769
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
大崎 祐馬 同志社大学, 法学部, 助教 (10978985)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 地経学 / インド太平洋 / アジア地域主義 / 経済外交 / IPEF |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近年、急速に注目の集まる「地経学」の地理的要素をインド太平洋地域に求め、その実態を学術的に明らかにすることを目的とする。アジアの経済外交領域において、安全保障分野に牽引されて普及したインド太平洋地域主義は、どのような制度化及び規範の実践をもたらしているか。従来のアジア地域主義と異なり、インド太平洋地域主義概念の伝播プロセスでは、これまで域外とされた国々も巻き込んでいる。本研究では、これら域内外諸国の政策決定過程を、流動化する国際秩序という構造要因と照合しながら複眼的に分析し、制度的近似性が中心的な紐帯となっているとの仮説を、複数の事例研究を通じて検証する。
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研究実績の概要 |
年次計画では、1年目の令和5(2023)年度は、事例Ⅰとして「英国の経済外交分析」を行う予定であった。これは、採用期間開始(2023年7月)時点で英国のCPTPP加盟・発効が既に見込まれていることから、欧州地域に位置する英国が、16年6月のEU離脱投票を受け、世界規模での経済外交戦略の再構築を模索する中、アジア太平洋で既に発効していたCPTPPに活路を見出し、23年3月末に加盟を果たした経緯を分析し、域外国の新規参加という観点で本研究の仮説検証を試みるものであった。 しかし、同時期に研究代表者が豪州のシンクタンクであるPerth USAsia CentreにてIndo-Pacific Fellow (Japan)として選出されたため、事例IIとして研究予定であった「インド太平洋経済枠組み(IPEF)の研究」を1年目の研究テーマとして実施した。インド太平洋との地理的名称を冠した初の経済枠組みであるIPEFは、TPPから離脱した米国と地域的な包括的経済連携協定(RCEP)から離脱したインドをいずれも原加盟国として発足した経済イニシアチブであり、その形成プロセスを地経学の見地から分析することで、その特性と既存制度との連関性という視座より、政策的意義を明らかにするものである。そのため、事例Iについては2年目の研究テーマとして、順序を入れ替えて取り組むこととした。 最後に、資料収集、インタビュー調査に関して、昨年度は主にIPEFに関する政府文書を中心に収集・分析したが、今年度はその結果を踏まえて、現地調査も実施し、実際の交渉官をはじめとする対外政策決定者に対するインタビュー調査などによって、これまでの研究の実証を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも記した通り、1年目は事例分析の二つ目としていたIPEFについての調査が進展した。一方で、事例分析の一つ目である英国のCPTPP参加に関しては、未だ先行研究や関連する調査・分析に乏しく、引き続き、資料収集に努める。実地調査を含む今後の研究によって、本研究の仮説検証を進め、最終段階に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、二つの事例分析を行うに際して、政府文献の精査と併せて交渉関係者らにインタビューを実施するなどの定性的手法を用いて、報道ベースの事実関係と実際の現場で何が起こっていたのかという水面下での交渉実態との乖離の有無を精査し、一般に公開されていない未知の情報を含む一次情報の収集・分析にあたり、仮説検証に繋げる。 これまでの研究によって、IPEFの政策的意義について予備調査を終え、分析が進んだので、今後は同枠組みの政策的起源の特定及び各原加盟国の交渉参加決定プロセス、加えて英国のCPTPP参加経緯などを、関係する交渉官らへの定性調査を通じて、明らかにしていく。
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