研究課題/領域番号 |
23K18818
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 公益財団法人アジア成長研究所 |
研究代表者 |
小松 翔 公益財団法人アジア成長研究所, 研究部, 上級研究員 (50978690)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | デジタルトランスフォーメーション(DX) / 農村振興 / 中国 |
研究開始時の研究の概要 |
デジタル・トランスフォーメーション(DX)の時代において、DXが社会経済に与える影響を明らかにすることは学術的にも実務的にも重要である。中国ではデジタル経済が急速に発展し、新たな経済成長エンジンとなったが、地域レベルのDX及び企業DXが農村経済に寄与するかどうかは明確になっていない。そこで、本研究は、地域・企業・家計の3つのレベルから中国におけるDXが農村振興に与える影響、及びそのメカニズムを定量的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、地域・企業・家計の3つのレベルから中国におけるDXが農村振興に与える影響、及びそのメカニズムを定量的に明らかにするものである。5月末現在、地域レベル(省級、地級、県級)のデータセットを構築中であるが、家計のデータセットについては中国家庭追跡調査のデータを用いておおむね構築することができた。また、全国レベルの分析に先立ち、デジタル経済の先進地域の代表の一つである浙江省における県級のパネルデータを構築し、デジタル経済が農村振興に与える影響に関する実証研究を行った。その成果物としてワーキングペーパー(AGI Working Paper Series)を公刊した。主な結果として、農村電子商取引(淘宝村や浙江省電子商務示範村等)、デジタル金融指数、ブロードバンドインターネット利用世帯数によって測定したデジタル経済がエントロピー重み法によって構築した農村振興スコアを高める効果があることを示した。さらに、技術革新と産業構造の転換は、デジタル経済が農村振興を促進する重要なメカニズムであることも明らかにした。また、同研究成果は中国経済経営学会 2023年度全国大会にて報告済み、2024 Chinese Economists Society (CES) China Annual Conferenceにて報告予定であり、そこでのフィードバック等を踏まえて、全国レベルの研究を推進し、査読付き国際誌へ投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画は、まず、国家統計局及び各省の統計局の公式統計年鑑やDX関連政策(「ブロードバンド中国」のパイロット政策、ビッグデータ総合試験区の設立、農村電子商取引モデル県政策など)のデータを用いて地域(省級、地級、県級)のマクロデータを収集し、独自のパネルデータを構築し、パネルデータ分析を行うことである。現在パネルデータを構築中のため多少の遅れはあるが、パネルデータ分析を終える目途は立っている。また、次年度予定していた農村家計のミクロデータの収集についても、ICT関連研究を進める中で中国家庭追跡調査を用いて前倒しでパネルデータをおおむね構築することができたため、総合的にはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、パネルデータの構築後、地域レベルおよび家計レベルのパネルデータ分析を予定しているが、分析後速やかに論文執筆に取りかかる。分析においてはDXおよび農村振興の単一指標に加え、関連政策、および包括的評価指標を用いるが、包括的評価指標についてはその妥当性を高めるよう改善していく。また、国内外の学会発表を通して研究内容の質を高め、査読付き国際誌の投稿に向けて研究をより一層推進していく。そして、次年度は本研究の最終年度であるため、企業のパネルデータの構築にも取りかかり、年度内に研究論文を完成させることに力点を置く。
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