研究課題/領域番号 |
23K18823
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
張 思銘 北海道大学, 教育学研究院, 専門研究員 (80980474)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高齢寡婦 / シングルマザー / コロナ禍 / ひとり親世帯 / 女性の貧困 / 質的縦断調査 / シングルマザーの老後 / 新型コロナウイルス感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新型コロナウィルス感染拡大や拡大防止措置(以下、コロナ禍)が高齢寡婦世帯の経済状況と健康状態に与えた影響を、質的縦断調査から明らかにする。 先行研究から高齢寡婦世帯は貯金と年金受給額が少なく、生活基盤が脆弱な状態にいることが分かった。そこで、コロナ禍により、感染しやすい高齢者として心理的ストレス・将来不安が増大し、より一層経済状況、健康状態が悪化していくと考えられる。そのため、本研究は、質的縦断調査を通して、過去三年間における高齢寡婦世帯の生活を描き、コロナ禍以前の生活と比較を通して、コロナ禍が経済的、健康的な面における影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
第一年度は、高齢寡婦世帯に対する質的縦断調査の準備段階の作業を完了した。また、コロナ禍が一般世帯に与える影響について分析し、論文をまとめた。 研究実績の具体的内容について、日本社会福祉大会と韓国社会福祉大会での発表、および日本と海外の研究者との議論を通して、以下の点を明らかにした。第一は、日本における高齢寡婦世帯の経済的、健康的な不利とその原因である。第二に、コロナ禍による高齢者への影響である。また、現在、当事者団体の協力を得て、調査協力者の募集が既に終わった。そして、研究実施計画における「課題1」のうち、以下の項目を完了した。①第一回調査から得られたデータから、コロナ禍以前の生活を整理する。また、②第二回調査の調査項目の制定と依頼をする。 以上の業績の意義と重要性については以下になる。国内外の発表を通して、高齢寡婦世帯に関する課題の重要性を発信し、研究者仲間とのネットワークを構築した。具体的には、以下の成果を挙げた。第一に、日本社会福祉学会での発表は、ライフコース・アプローチに基づいた高齢寡婦世帯の貧困の実態を初めて明らかにし、活発な議論を促進した。そして、韓国社会福祉学会では、韓国社会福祉学会での発表:日韓共通の課題として、高齢寡婦世帯の経済的不安定な状況を明らかにし、評価を獲得した。最後に、シングルマザーやひとり親世帯に関する研究領域において、新しい視点を発信して、より活発なディスカッションを促すことに貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象者は、70歳以上の高齢者で、秋冬の時期は外出が困難な方が多い。また、高齢のため、入院などの健康状態が不安定になる場合もあった。その為、第一年度の10月以降は、調査への協力してくれることが難しくなる。 対応策としては、調査期間を第二年度の春と夏、より暖かい時期に変更することにした。また、外出が困難な調査協力者に対しては、調査者が相手の近隣の市民会館や自宅に訪問して、調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究について、以下の二つの課題に取り込んでいく。課題①:「研究実施計画」における課題1の残り作業を完了させ、課題②:「研究実施計画」における課題2である。 具体的に、課題①について、第一回調査と同じ研究対象16人と、新しい対象20名にインタビュー(A)を実施する。両調査の調査結果を比較しながら、コロナ禍による高齢寡婦世帯への影響をまとめ、論文化していく。現段階の進捗状況は、既に10名から調査協力を得ており、5月と6月中にインタビュー調査(A)を実施する方向で進む予定である。 調査(A)の結果に基づき、10月の社会福祉学会で発表し、議論する予定である。そして、論文を完成させ、11月末までに『貧困研究』に投稿する。 課題②:ポストコロナ期の生活の有り様を追跡し、コロナ禍の長期的な影響を明らかにする。2024年から毎年一回インタビュー調査を行っていく。質的縦断調査を継続し、調査協力者の生活変化を明らかにし、ポストコロナ期における生活の変化を描き、長期的な影響を明らかにする。現段階の進捗状況については、インタビュー調査Aが実施する段階で、今後の長期的なインタビュー調査を依頼していく。 結果に基づき、以下の発表を予定している。2025年1月に、日本貧困研究会で発表する予定である。また、3月に、国際シンポジウムを開催し、積極的に調査結果を発信する。
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