研究課題/領域番号 |
23K18826
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
大茂矢 由佳 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 講師 (70981546)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 難民 / 強制移民 / ディスコース / メディア表象 / 政治的議論 / 世論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では国会会議録とメディア情報のディスコース分析を実施し、日本において難民・強制移民がいかに解釈されているかを解明する。また、ウェブ調査の統計分析を通じて、日本人の対難民意識の形成要因、および社会受容の可能性とその条件を検討する。本研究の出発点にあるのは、近年急激に好転している日本人の対難民意識と政府の認識・方針との間に乖離が生じてきているという仮説である。約10年分の政治的議論と新聞報道、SNSの難民ディスコースの変遷を比較することで、本仮説の検証を試みる。また、ウェブ調査によるイメージ評定や感情温度の測定から、日本人の対難民意識とその形成要因、社会受容性の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、日本において難民・強制移民がいかに解釈されているかを解明することを目的に、政治的議論、およびマスメディアとソーシャルメディア上での難民・強制移民をめぐるディスコースの分析を行なうものである。近年、日本人の対難民意識は急激に好転している一方で、政府の認識や政策方針は遅れており、両者のあいだに乖離が生じてきていると考えられる。本研究では、政治的議論と新聞報道、SNSの難民ディスコースの変遷を比較することで、上記の仮説の検証を試みる。 1年目である2023年度は、主として難民・強制移民をめぐる政治的議論に注力した。2023年度の通常国会で行なわれた「出入国管理及び難民認定法(入管法)」の改正にかかる審議内容を国会会議録検索システムから収集し、法案への賛成/反対の立場に注目しながら、議員の発言内容や着眼点の差異、および衆議院から参議院へと審議が進展していくなかでの論点の変遷を比較分析した。Rによるテキストマイニングとコレスポンデンス分析を実施し、その成果をそれぞれ11月の国際会議、および12月の国内学会にて発表した。いずれの発表に対しても、参加者からの有益なフィードバックを得ることができ、今後の研究の発展性と長期的な視点での研究の必要性を強く感じた。 日本人の対難民意識の規定要因に関しては、共分散構造分析にもどづく研究成果を2024年5月の国内学会、および同8月の国際会議で発表する予定である。後述するように、研究の進捗状況にやや遅れは見られるものの、2年目(2024年度)の研究活動の充実のための準備は順調に進んでおり、取り組むべき課題も明確化できていることから、2年目の研究の進展に期待がもてると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目の研究計画として、難民・強制移民をめぐる政治的議論と新聞報道のディスコース分析を予定していた。上述のように、前者の政治的議論に関しては、国会会議録の収集、およびテキストマイニングやコレスポンデンス分析を実施し、その研究成果を国内の学会や国際会議で発表することができた。しかし、後者の新聞ディスコースに関しては、データの収集はおおむね完了しているものの、分析にはまだ着手できていない。新聞データが膨大であり、データの整理に時間を要していることや、上記の政治的議論の分析に多くの時間を割いたことが進捗の遅れの原因であると考えている。当初の研究計画のとおりには進捗していないことから、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に着手できなかった新聞データの計量分析を実施するを当面の課題とし、その成果の学会発表や論文投稿にも積極的に取り組んでいく予定である。また、SNSデータの収集と整理も着実に進め、新聞データとの比較分析などにも着手していく。
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