研究課題/領域番号 |
23K18827
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武内 今日子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任助教 (20980585)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | トランスジェンダー / ノンバイナリー / オーラルヒストリー / カテゴリ― / セクシュアリティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、性別二元論やカテゴリに個々人を当てはめる前提をこえて、出生時に割り当てられた性別とは異なるジェンダーを生きるトランスの人々が、性をめぐる多様な概念のもとで自己を模索的に位置づける経験の歴史を描くものである。具体的には、本研究は、「Xジェンダー」「ノンバイナリー」などの非二元論的なジェンダー概念と、「レズビアン」「アセクシュアル」などのセクシュアリティ概念とを、トランスの人々が関連づけて解釈するなかで自己を位置づけてきた仕方を、雑誌資料およびインタビューデータの分析から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、セクシュアリティを語るグループにおいて、トランスジェンダーやノンバイナリーたちがいかに自らを表すカテゴリーを模索してきたか、そして個人史においてさまざまな性的マイノリティのグループでの複雑な経験がどのように自己の位置づけに織り込まれているのかを検討することを大きな目標としている。本年度は主に関西での調査をおこない、語りのアーカイブ化の可能性を探りつつ、とくにノンバイナリーやXジェンダーの人々がどのようなグループに属してきたのかをまずは整理していった。 その過程で、まず、女装コミュニティやトランスジェンダー・コミュニティの中で、非二元的なアイデンティティを持つ個々人が周囲から自らの性の在り方を否定されることがありながらも、「インタージェンダー」や「X」などの新たな非二元的な性概念のもとで自らを位置づけていく仕方を研究成果としてまとめた(「2000年代日本におけるXジェンダー・グループ史――「label X」立ち上げメンバーの語りから」、「女装コミュニティにおける非二元的な性概念史――「オーバージェンダー」「インタージェンダー」をめぐる語りから」)。さらに、アーカイブに関する国際的なイベント、LGBTQ+の語りのデジタルアーカイブ化と倫理勉強会を企画・報告し、日本の事例を国際的な文脈に位置付けるとともに、ジェンダーとセクシュアリティの経験が関わりあう事例をミニコミ誌や映像資料の分析から取り上げ、いかにして単一のカテゴリーには当てはまらない経験をアーカイブ化していく枠組みをつくれるかという問いを提起した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
女装コミュニティやトランスジェンダーコミュニティでのノンバイナリーな人々の経験の歴史について研究成果を発表することができた。また、関西において、セクシュアリティを語るグループでも活動してきたトランスジェンダーの人々への聞き取り調査やフィールドワークを新たに実施し、ジェンダー、セクシュアリティ、地域性、年齢などの交差的な経験のありかたを把握するとともに、それぞれの地域の性的マイノリティのグループ史を更新する知見を得た。加えて、それらの語りを、アーカイブとして保存していくためにはどのような枠組みが必要かも検討をはじめた。さらに、これまでインタビューをすでに行った人への再インタビューを数名に実施し、以前は聞き取れなかったグループ史の詳細を聞き取ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、聞き取りによって得られたデータをさらに整理し、ジェンダーとセクシュアリティの交錯の歴史として、論文や書籍にまとめていくとともに、国外の性的マイノリティ・アーカイブを参照しつつ、アーカイブの作成に向けた枠組みの形成を進める。その際、国外の研究者とのネットワークの形成を推進するために、アメリカで開催される国際学会での報告をおこなう。
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