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東アジアにおける反ジェンダー運動の批判的考察:台湾・韓国の事例を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 23K18828
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0108:社会学およびその関連分野
研究機関東京大学

研究代表者

福永 玄弥  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60975655)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード反ジェンダー運動 / バックラッシュ / フェミニズム / LGBTQ / 同性愛 / トランスジェンダー / 宗教 / 東アジア
研究開始時の研究の概要

本研究は、2000年代以降の東アジアにおける反ジェンダー運動を対象に、キリスト教右派というアクターに焦点を当てて批判的に考察する。東アジアでは台湾や韓国が女性や性的マイノリティの権利に対するバックラッシュが盛んなことで知られるため、それぞれの社会におけるキリスト教右派の歴史的展開を比較・検討しつつ、それらのトランスナショナルなネットワークの形成について分析し、宗教右派による性政治への介入を多角的な地域・方法から明らかにする。

研究実績の概要

21世紀の国際社会において人間の「性」(ジェンダー、セクシュアリティ)は人権課題として認識され、多くの国や地域で女性や性的マイノリティに対する差別の解消や権利の保障は政治が取り組む社会問題とみなされるようになった。だが、こうした状況を背景に、女性や性的マイノリティの権利を推進する政治に対する反動(バックラッシュ)も可視化されている。「反ジェンダー運動」(anti-gender movement)とも称されるバックラッシュは、政治家に対するロビー活動からメディアでの言論活動まで様々な形態を取り、構成員も右派政治家から保守市民まで多様であるが、キリスト教右派がその中核を占めていることが明らかになっている。実際、台湾や韓国では、キリスト教右派団体の動員によって性的マイノリティの権利保障が挫折に導かれたことが知られている。潤沢な資金や広範なネットワークを有するキリスト教右派が動員する反ジェンダー運動は、マジョリティの保守的なジェンダー観に訴えかける言説戦略を駆使して不安や憎悪の情動を動員することに成功し、中絶の自由や同性婚やトランスジェンダーの権利に標的を定めて組織化と資源の動員を実現してきた。そして東アジアの反ジェンダー運動は、米国のキリスト教右派から資源や戦略といった点で支援や影響を受けながらトランスナショナルなネットワークと相互協力関係を形成し、それぞれの社会において性政治に対する介入を進めている。
本研究は、先行研究では見過ごされてきた宗教右派による性政治への介入や資源動員の戦略を検討し、性政治の領域における主要なアクターとしての宗教右派のプレゼンスやその関わりを明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一年目は、植民地支配解放後の台湾と韓国において、国家建設の過程でキリスト教勢力がいかに保守政府と同盟関係を構築しながら政治的影響力や資源動員力を蓄えてきたか、さらにこれらの勢力が民主化を背景に「マイノリティの権利」を重視するようになったリベラルな政府に対する危機感から性の政治へ介入してきたかを検討した。これらの成果は学術論文(「Queer politics and solidarity: Post-Cold War homonationalism in East Asia」『Beyond Diversity: Queer Politics, Activism, and Representation in Contemporary Japan』99-116頁)やエッセイ(「男たちの帝国と東アジア」『エトセトラ』10号、76-81頁)、学会報告(「ジェンダー主流化の「逸脱」と性的マイノリティの権利保障:台湾ジェンダー平等教育法(2004)を権力の交差性から考察する」国際ジェンダー学会2023年大会)等で公表した。

今後の研究の推進方策

2年目は、夏季休暇中に台湾の「次世代幸福連盟」(キリスト教右派を中核とするネットワーク組織)、韓国の「汝矣島純福音教会」(反ジェンダー運動の拠点)対象に、これらの団体やネットワーク組織の構成員に対するインタビュー調査(対象はスノーボールサンプリングで有意抽出する)と、これらが展開する反ジェンダー運動のデモや集会でのフィールド調査(フレームや資源動員の検討)、団体が発行する機関紙やオンライン記事の分析を進めていく。そして台湾と韓国のそれぞれの社会におけるキリスト教右派の歴史的展開を比較・考察し、米国を中心とするトランスナショナルなネットワークの形成や展開についても明らかにする。研究成果は学術論文として公表予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Queer politics and solidarity: Post-Cold War homonationalism in East Asia2024

    • 著者名/発表者名
      Fukunaga Genya
    • 雑誌名

      Beyond Diversity: Queer Politics, Activism, and Representation in Contemporary Japan

      巻: 2024 ページ: 99-116

    • DOI

      10.1515/9783110767995-009

    • ISBN
      9783110767995
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ジェンダー主流化の「逸脱」と性的マイノリティの権利保障:台湾ジェンダー平等教育法(2004)を権力の交差性から考察する2023

    • 著者名/発表者名
      福永玄弥
    • 学会等名
      国際ジェンダー学会2023年大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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