日本仏教特有の問題である「僧侶とその家族」について考察する。明治以降の日本社会では、寺院は家産・家業として嫡系成員にほぼ独占的に世襲継承され、住職家族にとって生産・生活の基盤となってきた。家族を基盤とした寺院の維持運営は出家の理念との矛盾を抱えながらも、寺院の安定継承に寄与してきたことも事実である。しかし、家族のあり方が揺らいでいる現代日本社会において、僧侶の家族もその変化の荒波と無縁ではいられない。 本研究は、近年の社会動態や家族の変化をふまえつつ、寺院の維持運営と家族の現在を明らかにすることを目的とする。僧侶の家族の機能とその変化を宗教社会学と家族社会学の視角から分析する。
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