研究課題/領域番号 |
23K18888
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 倉敷芸術科学大学 |
研究代表者 |
内田 圭佑 倉敷芸術科学大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00983321)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 言語別教育委員会 / 少数言語教育権 / 教育統治 / カナダの教育 |
研究開始時の研究の概要 |
英語と仏語を公用語とするカナダは、1980年代に少数言語教育権として少数派公用語(英語話者が多数派の州におけるフランス語またはその逆)による教育を保障し、さらにそれぞれの教育を統治する教育委員会を別に設置する言語別教育委員会制度を採用している。 本研究では、言語別教育委員会制度の成立期および展開期において、少数派の権利がどのように議論され、どのような保障のあり方が目指されたか明らかにすることを目的とする。これにより、カナダの特徴的な教育行政制度の史的展開や実態を明らかにするだけに留まらず、教育を通じた多言語国家における多言語による国家統合のあり方に示唆を与えることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は英語とフランス語の二言語を公用語とするカナダにおいて英語系とフランス語系の教育権保障を規定した少数言語教育権に基づく言語別教育委員会制度に関して、制度設計時および改革時の立法議会の議論等の分析を通して、言語別教育委員会の成立・展開過程において少数派の教育権がどのように捉えられ、どのような保障のあり方が模索されてきたかを明らかにすることを目的とする。これにより、カナダの特徴的な教育行政制度の史的展開や実態を明らかにするだけに留まらず、教育を通じた多言語国家における多言語による国家統合のあり方に示唆を与えることが期待される。 初年度である2023年度は、本研究課題に関わる研究や政策動向についての情報、議事録の収集を行うとともに、ブリティッシュコロンビア州およびアルバータ州の立法府図書館等を訪問し、フランス語系教育委員会設置に関するワーキンググループ報告書をはじめとする資料の収集を行った。また、カナダ教育学会第61回研究会(於:国立オリンピック記念青少年総合センター)においてアルバータ州における制度設計時における議論の特徴に関して研究発表を行った。既に実施していたブリティッシュコロンビア州における制度設計時の議論の分析と比較すると、アルバータ州においては少数派であるフランス語系住民に教育委員選挙において英語系教育委員会とフランス語系教育委員会への「二重投票」が認められた。また、フランス系住民が一定居住する地域には教育委員会を設置し、それ以外の地域には学校評議会相当の組織を配置することによる二層での教育権保障が目指されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ブリティッシュコロンビア州、アルバータ州、ケベック州、プリンスエドワード島州の4州における言語別教育委員会制度の成立・展開過程を分析することを計画している。今年度はブリティッシュコロンビア州およびアルバータ州の立法府図書館等を訪れ、本研究課題に関わる資料や研究などの資料・文献収集を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、予定通り、ケベック州およびプリンスエドワード島州における言語別教育委員会制度の成立・展開過程の分析を行う。そのために、引き続き両州の言語別教育委員会制度に関する文献研究を進めるとともに、現地調査を通じて関連資料の収集を行う。 また、特に近年の教育行政制度改革により、ケベック州は教育委員会制度の廃止(少数派である英語系教育委員会の廃止は一時的に延期、後に適用除外)、プリンスエドワード島州は多数派である英語系教育委員会のみの廃止を決定するなど、言語別で異なる機関が教育行政を担う状況となっている。 多くの州で基本的に職務権限や組織構成に言語別での差異を設けてきておらず、両州の動向は近年の改革動向としてのみならず、今後の言語別教育委員会制度、ひいては多言語国家における多言語による教育統治のあり方を考えるうえでの好事例となりうる。このような点にも着目しながら、学会等での発表および論文投稿を目指す。
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