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「公害経験の継承」実践と言説に関する批判的研究:環境教育学からのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 23K18905
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0109:教育学およびその関連分野
研究機関山口大学

研究代表者

川尻 剛士  山口大学, 教育・学生支援機構, 助教 (40976156)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード水俣病 / 公害 / 記憶の継承 / 不可視性 / リアリズム / 公害経験の継承 / 公害教育 / 環境教育学
研究開始時の研究の概要

近年、次世代に継承すべき規範化された「過去」として公害経験が見なされるようになる中、「公害経験の継承」に関する実践と言説が活発に展開されている。しかし、そこでは「『過去』の経験をいかにして伝えるか」に焦点が置かれ、「現在」も引き続く公害被害との関連を問う視角が欠落している場合が少なくない。これでは今まさに生じている公害被害を脱歴史化する「継承という断絶」に陥りかねない。そこで本研究では、環境教育学の立場から、「公害経験の継承」実践/言説が有する現在進行形の公害被害の不可視化という特徴とその問題点を批判的に検討し、被害の不可視化に配慮した継承実践のための理論的な示唆を得ることを課題とする。

研究実績の概要

本研究では、環境教育学の立場から、「公害経験の継承」実践/言説が有する現在進行形の公害被害の不可視化という特徴とその問題点を批判的に検討し、被害の不可視化に配慮した継承実践の展開のための理論的な示唆を得ることを課題としている。
上述の課題の一端を解明するために、本研究では特に、①1990年代以降の「水俣病経験の継承」実践/言説の特徴と問題点の析出、②公害教育論の到達点と課題を明らかにし、現在進行形の被害の「不可視化」に配慮した「継承」実践に必要な視点の析出、を目指している。
初年度(2023年度)は、本研究の申請書提出以降から関連する先行研究レビューおよび関連文献と資料の収集・分析等を進めた。また特に②については、日本環境教育学会第34回年次大会において研究成果を中間発表し(口頭発表『不可視性』に対峙する公害経験継承はいかにして可能か」)、第19回環境教育研究・実践奨励賞(若手研究奨励部門)を受賞した。さらに、公害以外の類似事例の研究者と対話する機会(「コメント」、日本災害復興学会等主催オンライン公開研究会「災害の経験継承をめぐって:公害と震災を架橋して考える」)にも恵まれ、それを踏まえて、①②の両方に関わる研究の中間報告を批評論文(「〈公害経験の継承における陥穽を問う」『季刊経済研究』42(4))として発表した。また、同誌ではこれに対する回答論文(清水万由子「〈公害経験の継承〉における動体的視点と修復的正義」『季刊経済研究』42(4))も執筆・掲載していただき、申請者の問題意識について広く共有化を図る端緒とすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述のとおり、申請時の計画よりも早いペースで研究が進展しており、その成果の一部をすでに公開することができたため。また、周囲の研究者などに対して申請者の問題意識の共有化を図る端緒を拓くことができたため。

今後の研究の推進方策

まずは、日本環境教育学会年次大会において口頭発表した内容をもとにさらに研究を深めて論文化を目指したい。また、「水俣病経験の継承」実践/言説の特徴と問題点の析出という作業課題についても、引き続き関連文献と資料の収集・分析等を進めていくことにしたい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 5件)

  • [雑誌論文] 〈公害経験の継承〉における陥穽を問う : 清水万由子氏の諸論考を中心に2024

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 雑誌名

      季刊経済研究

      巻: 42 号: 4 ページ: 95-104

    • DOI

      10.24544/omu.20240401-006

    • ISSN
      2436-0392
    • URL

      https://ocu-omu.repo.nii.ac.jp/records/2019554

    • 年月日
      2024-03-29
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 医療講座・竹の子塾(1977-1979):水俣環境教育史断章2024

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 雑誌名

      水俣学研究

      巻: 第12・13合併号 ページ: 63-84

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評 藤川賢・友澤悠季編『なぜ公害は続くのか:潜在・散在・長期化する被害』(シリーズ 環境社会学講座1)2023

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 雑誌名

      週間読書人

      巻: 3496号 ページ: 3-3

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 環境教育史研究への招待:山口県公害教育史研究のための覚書2023

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 学会等名
      日本科学者会議山口支部新入会員歓迎セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「不可視性」に対峙する公害経験継承はいかにして可能か2023

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 学会等名
      日本環境教育学会第34回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] コメント:公害経験継承実践における「表現の不安定化の望ましい在り方」とは何か?2023

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 学会等名
      災害復興学会等主催オンライン公開研究会「災害の経験継承をめぐって:公害と震災を架橋して考える」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「公害問題から環境問題へ」再考:教育研究の立場から2023

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 学会等名
      第2回 環境サロン(NPO法人うべ環境コミュニティー)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 公害の歴史を学ぶ:〈未完の公害史〉を生きていくために2023

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 学会等名
      出前授業(山口県立宇部中央高等学校)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 水俣病を「不治」から「未知」の病いに:医療講座・竹の子塾の学習実践2023

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 学会等名
      環境運動のパブリックヒストリーPart4:持続可能な社会を自前でつくる実践的な学び(第1回)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 水俣病事件が問いかけるもの:環境教育研究からの応答2023

    • 著者名/発表者名
      川尻 剛士
    • 学会等名
      一橋大学経済学部 自然資源経済論C
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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