研究課題/領域番号 |
23K18930
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木下 卓弥 北海道大学, 教育学研究院, 専門研究員 (90981621)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 地域医療 / 労働組合 / 学習運動 / 社会教育 |
研究開始時の研究の概要 |
地域づくりの担い手(主体)形成をめぐって、労働者が個人の労働問題から地域問題へ課 題意識を広げるための学習を組織することが課題とされる。 本研究は1960年代~80年代の長野県の医療関連労働者の学習運動に注目し、労働者の地域課題の意識化の過程および学習の組織化の実態の解明を目指す。長野県の小諸厚生総合病院の労働組合を対象とし、労組での学習や地域医療実践を媒介に、労働者の課題意識が変容していく過程が描かれている労働組合の機関誌を対象とした史料分析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、1960年代~80年代の長野県の小諸分院(小諸厚生総合病院)の医療関連労働者の学習運動に注目し、労働者の地域課題の意識化の過程および学習の 組織化の実態の解明を目指すものである。現段階の研究状況は次の通りである。 まず、1960年代~80年代の小諸分院の地域医療実践の展開およびその特異性を整理した。地域医療実践が、①患者の問題としての健康管理事業、②医療労働者の問題としての医療労働者意識改善運動、③病院と地域の問題としての地域医療福祉運動へと、課題意識および実践方法が拡張していることを明らかにした。 次に、1970年代の医療労働者の学習組織化の展開を解明した。上記のような地域医療実践の展開の背景には、労働組合を中心とする学習組織化の展開が連動している。地域医療実践が必ずしも医療労働者全体の共通課題となっていない状況を起点に、①医療労働者と地域の共通課題としての医療合理化問題、②病院内の医療労働者の協働の必要性、③地域と医療労働者にとっての医療・健康問題へと、課題意識の共通化および実践方法の拡張が確認された。 ただし、以下のような課題も残されている。第一に、小諸分院と小諸分院の前身である佐久病院、厚生連病院の組織構造や歴史の整理である。病院組織についての資料の収集が喫緊の課題といえる。第二に、地域医療実践と医療労働者の学習運動の相互関連性の分析である。これは1970年代前後の医療労働者の学習運動の展開の解明も不可欠であり、そのうえで二つの文脈の接点を見出していく必要がある。第三に、医療労働者の学習論の構築である。医療労働者の学習がどのように組織化されたのか、その条件および作用の解明が求められる。また労働者の学習運動論の総体を整理したうえで、本研究がどのように位置づかれるのかも検討しなければならない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象(小諸分院)に関する資料の在りかが不明瞭で、資料収集の進捗が芳しくない。今年度は、資料および書籍を探すため現地に直接訪問することを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針は以下のとおりである。第一に、小諸分院と小諸分院の前身である佐久病院、厚生連病院の組織構造や歴史の整理である。病院組織についての資料の収集にむけて、現地調査を行う。また可能であれば、当事者へのインタビュー調査も行い、医療労働者の学習運動の実態をより鮮明にしていく。上記の作業は夏季に取り組む予定である。 第二に、地域医療実践と医療労働者の学習運動の相互関連性の分析である。上記の資料収集と並行して、1970年代前後の医療労働者の学習運動の展開の解明も行う。その際、地域医療実践をどのように裏付けていったのかという視点で学習運動の分析が必要と考える。上記の作業は夏季までに終わらせる予定である。 第三に、医療労働者の学習論の構築である。これまでの調査活動と理論の蓄積に基づいて、医療労働者の学習がどのように組織化されたのか、その条件および作用の解明を行う。社会教育研究における労働者の学習運動論の総体を踏まえ、本研究の位置づけを明確にしていく。上記の作業は冬季までに行う予定である。
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