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文化伝達とコミュニケーションが階層構造の創発に与える効果の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K18969
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0110:心理学およびその関連分野
研究機関東京大学

研究代表者

中田 星矢  東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任研究員 (20983381)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード文化進化 / 階層性 / 言語進化 / 繰り返し学習 / 相互作用 / コミュニケーション
研究開始時の研究の概要

言語を初めとするヒトの文化には体系的な階層構造が見られ、その創発メカニズムが多くの分野の研究者から注目されてきた。一つの有力な仮説は、2つのプロセスが組み合わせられることで徐々に階層構造が創発してきたということである。1つ目のプロセスは世代間の文化伝達である。2つ目のプロセスは世代内のコミュニケーションである。本研究では、それぞれのプロセス単独での効果及び交互作用を体系的に調べるための実験を行う。計算機科学分野で開発されてきた指標を用いることで、得られたデータから構造化の程度を定量的に測定する。この研究によって、ヒトの文化に見られる高度な階層構造がどのように生じてきたのかを解明する。

研究実績の概要

本研究の目的は、世代交代を伴う文化伝達と二者間コミュニケーションなどの社会的相互作用が階層構造の創発に与える影響を検討することである。刺激系列学習実験のデータを分析した結果、個人で刺激系列の学習を繰り返し行うだけの場合はその個人が持つ学習のバイアスが増幅される一方で、世代交代を伴う文化伝達を行う場合は個人の持つバイアスの効果は低減し、その結果、より深い階層構造が累積的に文化進化することが示された。この研究は学習プロセスの個人間多様性を考慮する重要性を示唆した。
同様の実験課題を用いて他者と学習後の出力を繰り返し交換する相互作用実験を新たに実施した。成人約60名の参加者を対象に実験を行った結果、二者間相互作用は文化伝達と類似の効果を持つことが示された。さらに詳細な分析の結果、個々人が持つ事前予測の違いが多様な相互作用を生み出す鍵である可能性が示唆された。また、約20の養育者-子どもペアを対象とした実験を実施し、学習プロセスの発達的な多様性および創発する構造に対して多様性が与える効果を分析中である。
加えて、文化伝達に伴うdemonstrator biasが文化進化に与える影響を検討する計算論モデルを構築した。その結果、集団内の影響力の分布が文化進化のダイナミクスに大きな影響を与えることが示された。上記の研究と合わせて、集団は異質な個人から構成されるという現実的な仮定の下では、従来の多くの文化進化研究が想定してきた均一な集団とは異なる文化進化が生じることが示唆されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

新しい研究機関でヒト実験を実施する環境を整備したことに加え、子どもを対象とした実験の協力先を確保することで発達科学的な検討も可能となった。また、計算機科学・発達科学・認知科学など様々な分野の研究者と連携することで、複数の論文の投稿・発表を行った。さらに、一連の研究者と新たな共同研究に向けた議論を開始している。関連するトピックに関して一般向けの書籍を出版した。

今後の研究の推進方策

引き続き、相互作用実験のデータ収集及び分析を実施する。また、得られた知見を公表するために、国内外の学会での発表、国際誌への論文投稿を予定している。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Formalising prestige bias: Differences between models with first-order and second-order cues2024

    • 著者名/発表者名
      Nakata Seiya、Masumi Akira、Toya Genta
    • 雑誌名

      Evolutionary Human Sciences

      巻: 6 ページ: 1-28

    • DOI

      10.1017/ehs.2024.12

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Hierarchical structures emerge from the cultural transmission: an iterated learning experiment using a non-linguistic task2023

    • 著者名/発表者名
      Nakata Seiya、Takezawa Masanori
    • 雑誌名

      Frontiers in Artificial Intelligence

      巻: 6

    • DOI

      10.3389/frai.2023.1221329

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 名声バイアスの計算論モデリング:手がかりの違いが文化進化に与える効果の検討2023

    • 著者名/発表者名
      中田星矢, 真隅暁, 外谷弦太
    • 学会等名
      日本社会心理学会第64回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] コミュニケーションと文化伝達による語順規則の創発2023

    • 著者名/発表者名
      中田星矢, 大平朱莉, 竹澤正哲
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 相互作用を通した刺激系列における階層構造の創発:個人差に注目した予備的検討2023

    • 著者名/発表者名
      中田星矢, 長井志江
    • 学会等名
      日本発達神経科学会第12回学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 名声分布の違いが文化進化の速度に与える効果:シミュレーションによる検討2023

    • 著者名/発表者名
      中田星矢, 外谷弦太
    • 学会等名
      日本人間行動進化学会第16回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 文化のバトンを受け継ぐコミュニケーション(第7章). 阪口幸駿・富田健太 編. 「合う」のメカニズムを科学する: 影響し合う「あなた」と「わたし」の心理学2023

    • 著者名/発表者名
      中田星矢
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623095803
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] Seiya Nakata

    • URL

      https://sites.google.com/view/seiyanakata/home

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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