研究課題/領域番号 |
23K18973
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
中村 香理 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (90979006)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 心理臨床訓練 / 限界練習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、限界練習(Deliberate Practice)を取り入れた心理臨床家の訓練プログラムの開発を試みるものである。日本では、心理職初の国家資格である公認心理師の運用が開始され、いかに心理職を育て、その質を高めていくかが大きな課題となっている。限界練習は、臨床家それぞれの課題に応じてスモールステップで目標を設定し、臨床実践に必要なスキルの練習を繰り返し、その習得・向上を目指すものであり、臨床家一人一人の特徴を踏まえ、成長を促す訓練活動となることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は心理臨床家の訓練に限界練習(Deliberate Practice; 以下DP)を取り入れる試みである。DPは、個人の課題に応じてスモールステップで目標を設定し、スキル練習を繰り返す訓練活動であることから、一人一人の特徴を踏まえ、成長を促す、よりきめ細やかな訓練モデルの開発につながることが期待される。そこで本研究は、「Deliberate Practice for Empathy Trial Protocol v.2」(Vaz & Sousa, 2019)をもとにした訓練プログラムを開発・実施し、(1)DPによって共感スキルが向上するか(DPの効果)、(2)訓練参加者にとってDPのどのような側面が役立つか、どのような側面に困難があるか(訓練体験)、を明らかにすることを目的とした。 令和5年度は、訓練プログラムの内容や進行に問題がないかを確認するため、予備調査を実施した。訓練生3名(臨床心理学博士前期課程の大学院生1名および臨床経験5年未満の心理臨床家2名)に対して、DPを取り入れた2回の訓練セッションを実施し、共感スキルを促進的対人的スキル評価尺度(Facilitative Interpersonal Skills Rating Scale; 以下FIS-RS; Anderson & Patterson, 2013)によって評価した。また、訓練体験に関する自由記述調査を実施した。FIS-RSの評定結果から訓練生の共感スキルの向上を読み取ることができた。また、自由記述調査の結果から、訓練生がスーパーバイザーや他の参加者との間で安心安全の感覚を得て、恥や緊張から解放され、自分を俯瞰し具体的な改善点を見つけ自分で取り組んでいく感覚を得ることが重要であることがわかった。予備調査から訓練プログラムの内容や進行に大きな問題はないことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は令和5年度から多くの訓練生を集め、訓練プログラムを実施する計画であった。しかしながら、訓練プログラムを具体的に設計する過程で、DPを取り入れた訓練プログラムは日本ではほとんどなじみがないため、訓練生が取り組みやすい内容や進行になっているかを確認する必要性を認識した。そこで、少数の参加者に協力を求め、予備調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、より多くの参加者を対象にDPの訓練プログラムを実施し、統制群との比較によってその効果を検証する。DPの実践例は日本ではまだ少ないため、より多くの参加者にDPを体験してもらうべく、統制群は「待機群」とし、DP群に続いて同様の訓練セッションを実施する。
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