研究課題/領域番号 |
23K19005
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0201:代数学、幾何学、解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
和久井 洋司 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (10982382)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 移流拡散方程式 / 定数定常解 / 安定性 / 自己相似解 / 漸近挙動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、自己相互作用を考慮した重力粒子系の運動モデルや生物化学モデルなどの(粒子・細胞性粘菌の) 密度の誘因モデル、さらに半導体の電荷移動モデルに代表される(電荷) 密度の反発モデルなど様々な背景を有する偏微分方程式を通し、それぞれのモデルにおいて観測される粒子・細胞性粘菌の凝集現象、電荷の散逸現象、その他の様々な現象に対する数学的理論を構築および整備を目的とする。特に、現象の偏微分方程式論における定式化や定性的特徴の抽出、初期条件に対する定量的な現象の分類を研究対象とし、移流拡散方程式の初期値問題の初期値の持つ定量的・定性的特徴が支配する解の大域的漸近挙動を解析し定式化することである。
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研究実績の概要 |
本研究では、走化性モデルや圧縮性流体力学に関連した非線型放物型偏微分方程式、特に放物型・楕円型偏微分方程式の連立系で与えられるKeller-Segel系の最も単純なものの一つである移流拡散方程式を対象とし、初期値問題における初期値ものつ定量的・定性的特徴が支配する解の大域的挙動を解析することが目的である。現在までに得られた研究成果は以下のとおりである。 (1) 移流拡散方程式の初期値問題のうち、前方自己相似解の形状関数の解析を進めていたが、当初の手法における議論にて、再考察の必要がある部分を確認し、改めて方程式の構造を取り入れた形状関数の定量的・定性的解析を行うこととした。 (2) 移流拡散方程式の初期値問題のうち、誘引反発混在型の非線形項を持つ問題における定数定常解の安定性について考察した。誘引反発混在型では、誘引項及び反発項の影響の大きさを表す定数が満たす関係によって、時間大域挙動の分類の閾値の候補に差が生じることが知られておりここでは、その定数間の関係が定数定常解の安定性の解析において本質的に異なるかどうか考察した。その結果、既知の関係式と同様の条件が、定数定常解の安定性の解析においても一部現れたが本考察ではさらに、共通して現れる条件以外の、関係式を新たに発見した。この関係式は、従来の全空間における可積分性に依存した枠組みにおける時間大域挙動の分類で重要な役割を果たした定数の候補には現れなかった条件であるため、これら2つの枠組みにおける解の時間大域的挙動の分類において、互いの差を明確にする可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画内容について、自己相似解の解析で議論の一部を再考察する必要が出た影響により、自己相似解の形状関数の解析には、より綿密な議論を重ねる必要があることを確認した。それ以外の部分では、誘引反発混在型の移流拡散方程式における定数定常解の安定性も新たに発見でき、進行波解・散逸波解の解析のために重要な条件の候補を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は次の通りに遂行する予定である。 (1) 移流拡散方程式の初期値問題の前方自己相似解の形状関数の解析において、これまでの議論で得られた定性的な性質を具体的に有するものの存在性を示す。 (2) 誘引反発混在型の移流拡散方程式の定数定常解の安定性の解析に目処がつき次第、進行波解と散逸波解の存在・非存在性を改めて考察し、その特徴量が持つ定量的情報とこれまでの解析において得られた関係式との関連を精査し、進行波解と散逸波解のもつ定性的・定量的情報が支配する解の構造の分類を試みる。
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