研究課題/領域番号 |
23K19016
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0201:代数学、幾何学、解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
浅井 大晴 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (80979823)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 精度保証付き数値計算 / 分岐理論 / 全解探索 / 特異関数 |
研究開始時の研究の概要 |
方程式のパラメータを変化させると多重解が生じる数理モデルは多く存在する。中でも、その問題が偏微分方程式であったり、さらにはパラメータが付加されている箇所に特異性の含まれる方程式の場合では、解の対称性に制限がかけられないなど手計算による理論解析ですべての解のパターンを求めることを困難にする。そこで、特異性を持つ数理モデルに対し、人間の手計算では発見できないような解を、計算機により精度保証付きで、隈なく誤りなく探索・発見することを本研究目的とし、精度保証付き自動探索ツールの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
研究実施計画の1年目の目標に基づき、特異性を持つ数理モデルの多重解の探索及び、全解探索手法の開発を行った。 本年度は、特異性を持つ数理モデルの中でも特にエノン型方程式に注目し、研究を行った。同方程式はパラメータの値に依存して、多重解が存在するモデルである。そのような問題に対して、虱潰し的に解を探索し、発見できた解に対して精度保証付き数値計算を行い、その解の存在証明を行った。結果として、カスプ点と呼ばれる解の分岐点を精度保証付き数値計算で求めることができた。分岐構造の概要が明らかになった後、さらにその多重解がこれ以上ないということの証明を行う必要がある。そのためには全解探索アルゴリズムによって、例えば1次元の問題であれば、シューティング法などに基づきある範囲には解があるがほかの部分では必ず解は存在しないというような、解の存在非存在証明を行うことにより達成される。しかし、既存のライブラリによる精度保証付き数値計算を用いた全解探索そのままでは計算コストが膨大で、目標時間内で探索が終了しないことがネックであった。本研究の中で、解の最大値の限界などを決めることにより計算コストを大幅に削減できることが明らかとなり、そのアルゴリズムの構築といくつかの数値例を実験した。 2年目では、その全解探索の実装と複数例での数値実験を行っていく予定である。1年目の研究において、固定値のパラメータに対して、全解探索ができるようになったため、それを応用し、微小な幅を持たせたパラメータ値を少しずつずらしていくことでパラメータ全域をスキャンしていく形で、解の分岐の精度保証付き自動追尾を行うことを考えている。そのためには、より一層の計算量削減と並列計算による処理を実装していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画において、本年度は「解の精度保証付き全解探索手法の開発を行う」としており、途中、計画時に想定していたよりも計算コストが膨大で進捗に遅れが出ることも見込まれたが、その後の研究においていくつかの計算量削減のアルゴリズムを考案できたため、現在はいくつかの数値例もできているため、多少の遅れはあるかもしれないが、おおむね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、当初の計画通り「解の分岐の精度保証付き自動追尾」に着手したいと考えている。1年目の研究において、固定値のパラメータに対して、全解探索ができるようになったため、それを応用し、微小な幅を持たせたパラメータ値を少しずつずらしていくことでパラメータ全域をスキャンしていく形で、解の分岐の精度保証付き自動追尾を行うことを考えている。そのためには、より一層の計算量削減と並列計算による処理を実装していきたいと考えている。
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