研究課題/領域番号 |
23K19025
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0202:物性物理学、プラズマ学、原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑原 佑典 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (30981170)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 古第三紀 / 生物生産性 / レアアース資源 / バリウム同位体比 / 温室地球 / 炭酸塩堆積物 / Eocene Hyperthermals |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,新規レアアース資源として期待されている海底堆積物「レアアース泥」の生成条件を,古第三紀の温室地球における海洋の生物生産性に注目して制約することを目指すものである.本研究では,過去の海洋における生物生産性の指標として海水のバリウム (Ba) 同位体比を利用し,太平洋・インド洋・大西洋の各海域における古第三紀当時の生物生産性の変動を復元する.そして,環境変動の指標 (炭素・酸素同位体比),堆積物中のレアアース濃度の時空間分布と対比し,「環境変動」「海洋の生物生産性」「レアアース濃集」の関連を議論する.以上を通じ,海洋の生物生産性の変動が海底レアアース資源の生成に果たした役割を解明する.
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研究実績の概要 |
本研究は,新規レアアース資源として期待されている海底堆積物「レアアース泥」の生成条件を,古第三紀の温室地球における海洋の生物生産性に注目して制約することを目指すものである.これにあたり,本研究では,海底堆積物のバリウム同位体比を,当時の海洋の生物生産性の指標として利用する. 2023年度は,インド洋の2サイトの炭酸塩堆積物を対象に,表面電離型質量分析装置によるバリウム同位体分析を実施した.その結果,古第三紀始新世前期に発生した,複数の温暖化イベント “Hyperthermals” において,システマティックにバリウム同位体比が低下することが明らかとなった.このことは,温暖化イベントの発生に伴い,一時的にインド洋における生物生産性が低下した可能性を示唆するものである.本成果は地球環境史学会にて発表し「優秀発表賞」を受賞した. 2024年4月現在,インド洋の堆積物のバリウム同位体分析をほぼ完了した.引き続き,2024年5月以降,北西太平洋,および南太平洋の炭酸塩堆積物のBa同位体比分析を開始する予定である.なお,そのための予備分析として,太平洋の堆積物の蛍光X線分析および誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた全岩化学組成分析が進行中である. また,2024年4月には東京大学大気海洋研究所の調査航海 (KH-24-1航海)に参加し,本研究で分析対象とするコア試料 (ODP Site 1209) が採取された北西太平洋シャツキー海台周辺海域にてピストンコア採泥を実施し,船上におけるコア処理および微化石観察に従事した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インド洋の堆積物試料のBa同位体分析がほぼ完了段階に至り,続いて太平洋の堆積物試料の分析に取り掛かる段階に入っている.さらに,今後分析に供する予定の大西洋の堆積物試料もすでに入手済みであり,予備分析ののち,直ちに試料のバリウム同位体分析に取りかかることができる状況であるため. 以上に加え,報告者がバリウム同位体分析の手法に習熟したことから,試料の分析がより円滑に進められるようになり,今年度はさらに効率的なデータ取得が可能になると期待される.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,太平洋の堆積物,および大西洋の堆積物のバリウム同位体分析を実施する予定である.これにあたり,予備分析により得られた全岩化学組成に基づき,レアアース濃集相とその上下の層準に重点を置きつつ試料選定を行い,バリウム同位体分析を実施する.そして,レアアース濃集機構と生物生産性の関連の解明を主眼に置いたデータ取得を効率的に進めていく.
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