研究課題/領域番号 |
23K19046
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0203:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北村 徳隆 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40979043)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 不安定核 / ボロミアン核 |
研究開始時の研究の概要 |
陽子・中性子数が極めてアンバランスな不安定核には、安定核とは大きく異なった特殊な構造が現れる。その典型例として「ボロミアン核」がある。これは、原子核をコアに核子が二つ結合した三体系とみなしたとき、三体で束縛状態を形成する一方、その構成要素である部分二体系はどれも非束縛となるような特異な原子核のことである。ボロミアン核の記述のためには、部分二体系の分光学的情報が不可欠であるが、非束縛核の測定の難しさのために十分なデータが得られていない。この問題を解決すべく、本研究では従来とは異なる実験手法を開発し、ボロミアン部分二体系の構造に迫る。
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研究実績の概要 |
不安定な原子核領域にはボロミアン核とよばれる、三体で束縛する一方、その構成要素である部分二体系は非束縛となる特異な三体系が存在する。ボロミアン核は原子核の存在限界に関わる様々な量子力学的効果の検証を可能とする格好の研究対象である一方で、その統一的理解は未だ途上にある。 本研究では、ボロミアン核の部分二体系に関する高精度な分光学的情報を得るための実験的プローブとして陽子共鳴散乱に着目し、その有効性を示すべく、新たな測定を不安定核ビームを用いた逆運動学条件下にて行うことを予定している。ビーム強度の観点から、大阪大学核物理研究センターの不安定核ビームコースを使用した測定を計画しており、本年度は実験セットアップを確定させるためのシミュレーションによる最適化検討、現地でのセットアップの現況調査と議論を進めた。散乱陽子のエネルギー測定のための半導体検出器やビーム飛跡検出器、真空チェンバーなどは既存の物品を極力再利用する予定である。そのための準備として放射線源を用いた検出器のオフラインテストを行った。ただし、半導体検出器については、十分な立体角を確保するために、当初計画していた通り追加での導入を検討中である。既存の検出器読み出し系には汎用性や可搬性の面に課題があるため、更新を予定している。波形ディジタイザベースの読み出し・データ収集系の開発が進行中であり、現在までに基本的な動作が確認できている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験セットアップの最適化、既存の装置のオフラインテスト、新たなデータ収集システムの開発を並行して進めている。読み出し系の開発に関する成果は国内研究会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、本研究に特化した測定システムの構築を進める。陽子共鳴散乱の理論解析コードの整備にも着手しており、こちらは来年度の早い段階で完了させることを目指す。
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