研究課題/領域番号 |
23K19061
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 慎也 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (60984523)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 深部低周波地震 / 深層学習 / Vision Transformer / イベント検出 / 震源決定 / 発震機構解 / 発生メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、内陸の非火山地帯で発生する深部低周波地震(DLFs)が局所的に発生するメカニズムを明らかにすることを目指す。そのために、定常観測網と稠密地震観測網(満点観測網)によるBig dataとDLFsによる波形の特徴を学習した深層学習モデルを用いて、詳細なDLFsの分布や発震機構解の推定を行う。そして、得られたDLFsの分布や発震機構解から内陸の非火山地帯で発生するDLFsの発生メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
内陸の非火山地帯で生じる深部低周波地震の発生メカニズムを解明するため、今年度は深層学習を用いた検出手法の開発に着手した。これまで、深部低周波地震のような低周波イベントを検出するためには、類似波形探索手法や深層学習が用いられていた(Shelly et al., 2007; Nakano et al., 2019; Kurihara and Obara, 2021)。類似波形探索手法は事前に作成されたテンプレートを基に検出を行うため、新たな地震波形に対応する能力には限界がある。一方、深層学習を使用した手法では、単一観測点の地震波形のランニングスペクトルから低周波イベントを検出していましたが、微弱な振幅を持つ低周波イベントを検出するには、複数の観測点から得られる波形の同時特徴抽出がより効果的である。
そこで本研究では、従来の類似波形探索手法よりも柔軟に深部低周波地震の波形を検出が可能で、複数の観測点から得られた地震波形を入力として受け入れることができる深層学習モデルを開発した。このモデルには、複数観測点で得られた地震波形を2次元データとして入力しているため、複数の観測点から得られる波形情報を基に波動場を学習することが可能となる。モデル構造には、入力データの全体的な特徴を効果的に抽出できるVision Transformerを採用した。このモデルは、深部低周波地震の検出だけでなく、入力されたデータが通常の地震波形、深部低周波地震の波形、またはノイズのいずれであるかを分類することができる。このモデルの識別精度は約98%と非常に高く、優れた性能を有するモデルを開発することがでた。また、開発したモデルは、このモデルがデータのどこに注目しているかがattention mapによって可視化ができ、モデルの説明可能性が向上している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連続波形からmoving windowで波形を切り出し、そこに深部低周波地震が含まれているかを識別する深層学習モデルが開発できた。次年度は、この結果をもとに内陸の非火山地帯で生じる深部低周波地震の発生メカニズムの考察を進める。
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今後の研究の推進方策 |
まず、開発した深部低周波地震を検出する深層学習モデルに関する研究成果をまとめて学術雑誌への投稿を行う。また、投稿に際して深部低周波地震のカタログや深層学習モデルをgithubなどに公開する。
次に、検出された深部低周波地震の震源決定と発震機構解の推定を進め、内陸の非火山地帯で生じる深部低周波地震の発生メカニズムの考察を進める。
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