研究課題/領域番号 |
23K19067
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石井 貴之 岡山大学, 惑星物質研究所, 准教授 (50765534)
|
研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | マントル / 地球内部水 / 高圧実験 / その場X線観察実験 / デイブマオアイト / 赤外分光法 / 単結晶 / 含水量 / 地球マントル / 鉱物 / 高温高圧下X線その場観察法 |
研究開始時の研究の概要 |
地球表層と内部の間を水の大循環プロセスと地球内部の水貯蔵量を明らかにすることは、地震や火山活動などの地質現象の解明、地球内部の化学的進化を明らかにするために重要である。独自に開発した川井型マルチアンビル高圧発生装置を用いた高圧実験により、精密な温度・圧力・化学組成制御下で、下部マントルで3番目の体積比を有するデイブマオアイトの水の溶解度を決定する。得られた結果から、下部マントルの水循環・分布モデルを構築する。
|
研究実績の概要 |
水がどのように地球表層と内部の間を循環しているのか、そしてどの程度地球内部に水が蓄えられているのかを明らかにすることは、地震や火山活動などの地質現象の原因や地球マントルの進化を理解するために重要である。上部マントルから遷移層条件で安定な水を含む鉱物が、天然のダイヤモンド包有物として発見されたことで、少なくとも遷移層まで水が運ばれ、貯蔵されていることが明らかとなっている。一方、下部マントルを起源とする海洋島玄武岩は高い含水量を示しており、下部マントルにも水が蓄えられている可能性がある。しかし、下部マントル主要鉱物のブリッジマナイトとフェロペリクレースへの水の溶解度は非常に低いため、下部マントルにおいて水がどのように分布し循環しているのかは、未解決の問題である。本研究では、下部マントルで3番目の体積比を有し、高い水の溶解度が期待される鉱物であるデイブマオアイトに注目する。川井型マルチアンビル高圧発生装置を用いた高圧実験により、デイブマオアイトの水の溶解度を決定し、下部マントルの水循環・分布モデルを構築することを目的とする。 2023年度は、主に放射光X線を用いた高温高圧下その場X線観察実験により、デイブマオアイトの含水量の決定を行った。含水条件下のCaSiO3デイブマオアイトの格子体積を測定した。下部マントルまでの圧力温度条件において、含水下の格子体積は、無水条件におけるCaSiO3デイブマオアイトの格子体積と同程度の値であり、先行研究で報告されているような含水化に伴う格子体積の著しい減少は見られなかった。また、先行研究で報告されているような含水条件下での立方晶から正方晶への結晶系の変化も見られなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2023年度は、主に放射光X線を用いた高温高圧下その場X線観察実験により、含水条件下のCaSiO3デイブマオアイトの格子体積測定に成功した。下部マントルの圧力温度条件まで、デイブマオアイトの格子体積を測定し、当初の計画通り研究を遂行できたと言える。 また、2024年度の主な実施予定であるCaTiO3を含むCaSiO3ペロブスカイト単結晶合成とその含水量測定についても予備実験を実施した。単結晶育成における最適な高温高圧合成条件を確立し、最大0.3 mmの単結晶育成に成功し、2024年度の実施計画を円滑に推進する土台を作ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
放射光X線を用いた高温高圧下その場X線観察実験は、2023年度に下部マントル最上部条件までの実験が終了した。2024年度は、下部マントル上部から中部条件まで圧力・温度条件を拡大し、引き続き実験を行う予定である。また、2024年度は、マントル遷移層から下部マントル条件におけるCaTiO3を含むCaSiO3ペロブスカイトの含水下での単結晶合成と赤外分光測定による含水量測定を主に行う。
|