研究課題/領域番号 |
23K19082
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
佐藤 大祐 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), 研究員 (40981486)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 断層摩擦特性 / 震源インバージョン / 南海トラフ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、観測された三次元弾性構造とプレート形状を取り入れた南海沈み込み帯の物理シミュレーションを行い、海域観測データと比較するデジタルツイン演算を実施する。これにより、1944年東南海地震と1946年南海地震の震源域境界に位置する構造異常域の断層摩擦特性を推定し、地震規模予測の基礎情報となる、南海トラフ震源域における破壊停止の物理メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、大地震震源域の摩擦的空間特性の推定を目的とする。これまで、断層の運動学的情報にあたる断層滑りを推定する方法が確立されたのに比べると、摩擦の空間特性の把握は遅れている。特に、発生間隔が極めて長い、巨大震源域の断層面の摩擦情報はごく少ない。本研究は、南海トラフ震源域を対象とし、1944年東南海地震と1946年南海地震の震源域の境界の摩擦特性を調べる。こうして従来不確定要素であったプレート境界面の摩擦的境界条件を推定することで、従来の研究から示唆されてきた震源域境界と構造異常域との関係について、定量的モデルからそれらの因果関係を考察する。
当該年度は、地震サイクルシミュレーションにおける断層面の境界条件のパラメターに相当する、断層面の摩擦的固着の有無を測地データから検出することができることを明らかにし、新手法を南海トラフに適用した。これにより、従来は過去の地震動の限られたデータから示唆されていた、石臼隣接域における摩擦特性異常が本研究で直接推定された。本研究からは、半割れ境界の摩擦異常は、石臼よりはその近辺にある海盆地形と相関していることが示唆され、近年発見された浅部のスロー地震活動の空間分布とも整合的である。
本件に関し、国際学会・ワークショップで口頭発表1件、ポスター発表2件、国内学会で口頭発表2件を行った(主著)。また、関連した主著論文を執筆中である。この他、推移予測に関する共著論文1件を投稿し、当該年度参加した海域測地観測に関して国際学会でポスター1件の共著発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的であった断層摩擦特性のうち、その基本的情報にあたる断層面の摩擦的固着を推定し、また研究成果を発表できているため。研究論文に関してもすでに執筆中であり、来年度に投稿を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度推定された断層の摩擦的固着の空間特性に関する論文を投稿する。また、この固着分布を入力にした地震サイクルシミュレーションにより、当該年度の推定結果と地震活動との整合性を物理モデルの観点からさらに検証する。
スロー地震との関係に関して、破壊エネルギーの観点から摩擦特性とスロー地震を比較検討することを当初予定していたが、固着域周縁とスロー地震発生域との空間相関が著しいことが当該年度の結果から示唆されたため、今後はこの観点から検討を進める。
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