研究課題/領域番号 |
23K19087
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0301:材料力学、生産工学、設計工学、流体工学、熱工学、機械力学、ロボティクス、航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大川 采久 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40975603)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 希土類珪酸塩 / 耐環境コーティング / 自己修復 / 相転移 / 焼結 / 機械的特性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年においては、セラミックス材料の高温構造部材への適用の関心が高まっており、セラミックスの脆性を克服する自己修復に関する研究が盛んになっている。また、焼結技術の進展により、従来では実現の困難であった低温領域での焼結が可能となり、高温で不安定な準安定相焼結体の作製が可能となっている。これらのタイミングがちょうど合致した今、従来の粒子の酸化に伴う体積膨張を利用した自己修復とは異なる、準安定相を用いた新しい自己修復の実証が可能になる。
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研究実績の概要 |
準安定相バルク材料の作製プロセスを実現するため、水熱法によってYb2Si2O7の組成比に対応する非晶質粉末を作製した。硝酸Yb水溶液にアンモニア水を滴下してpHを10に、メタケイ酸ナトリウム水溶液にHClを滴下してpHを1に制御する。これ らの溶液を混合し、最終的にpHを10に制御した後、オートクレーブに封入し180°Cにて3h水熱処理を施し、非晶質粉末を得た。また、イオン半径に依存した相転移挙動を解明するために、Ybの20mol%Er, Dy, Euに置換したサンプルを作製した。 当該粉末を1050℃までの温度域に晒し、ex-situのXRD、高温XRD、TG-DTAにて測定し、相転移の評価を行った。950℃に3 h晒した後、Euをドープした試料では比較的結晶性の高い準安定相(α相)が主相として同定された。1050℃に3 h晒した後、全てのサンプルは安定なβ相を示し、ドープした希土類半径が大きくなるにつれてピークが低角側へシフトした。置換した希土類のイオン半径が多くなるにつれて結晶化温度の低下と結晶化後の準安定相分率の増加が観察された。 また、特注設計した超硬ダイスを用いて、結晶Yb2Si2O7に対して5mol/LのNaOHを40wt%混合し、300℃にて30min保持し、200MPaで低温焼結を実施した。形状は保持していたものの、亀裂が観察された。焼結に関しては改善が必要であり、NaOH分率の低い溶媒や溶媒量、温度条件など、緻密化の条件を探索する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において鍵となる準安定相から安定相への相転移に関して元素ドープにより準安定相を引き出す設計指針を見出すことができたため。一方で、低温焼結プロセスの条件検討について不十分であるため、次年度には当該手法を確立する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から、Ybよりもイオン半径の大きな希土類元素のドープによる準安定相分率の向上を検証することができた。今後は当該サンプルをベースに、緻密な準安定相焼結体の作製条件の確立し、ビッカース硬さを始めとする機械的特性を明らかにする。また、ビッカース圧痕の亀裂長さと結晶構造の相関に着目し、準安定相から安定相への相転移特有の亀裂治癒メカニズムの解明について取り組む予定である。
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