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渦変調に基づいた低レイノルズ数の弾性慣性乱流への遷移メカニズムと伝熱促進の応用

研究課題

研究課題/領域番号 23K19093
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0301:材料力学、生産工学、設計工学、流体工学、熱工学、機械力学、ロボティクス、航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
研究機関東京農工大学

研究代表者

仁村 友洋  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90982603)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード乱流遷移 / 弾性慣性乱流 / 伝熱促進 / 粘弾性流体 / 直接数値シミュレーション
研究開始時の研究の概要

粘弾性流体の目新しい乱流状態として注目されている弾性慣性乱流 (Elasto-inertial turbulence, EIT) と呼ばれる現象の遷移メカニズム解明とその工学的応用のため,特に伝熱促進のために知見の獲得を目指す.低レイノルズ数における粘弾性の壁面せん断流れに系の回転を加えることで,特徴的な渦を流れ場に誘起し,渦の粘弾性による変調を弾性の強さに関して系統的に調査する.この渦変調に基づいて流れ場の流動・伝熱特性を評価することで,低レイノルズ数におけるEITへの遷移メカニズムを明らかにするとともに,EITを用いた伝熱制御のための指針を獲得する.

研究実績の概要

本研究の目的は,粘弾性による渦変調に基づいた弾性慣性乱流の流動・伝熱特性を評価し,遷移メカニズム解明と伝熱促進のために知見を獲得することである.当該年度は,まずは壁乱流の最も規範的な流れとして平面クエット流れおよび,平面ポアズイユ流れにおいて,粘弾性応力のための構成方程式に用いられるモデルの依存性を調査した.粘弾性によって乱流が抑制された抵抗低減流れでは,実験的にもいくつかの数理モデルとの検証は行われ,粘弾性乱流の定性的な特徴は捉えられていることがわかっている.しかし,弾性慣性乱流が現れる低レイノルズ数かつ高ワイゼンベルグ数の流れにおいての検証は不十分で,不安定性の現れる臨界値やその構造もモデル毎に様々な報告がされている.弾性慣性乱流がモデルにどのように依存して形成されるかを,粘弾性流体乱流の再現に採用されるOldrod-B/Giesekus/FENE-Pの3つのモデルをプログラムコードへ実装し調査を行った.その結果として,Oldrod-Bモデルは数値的に不安定なため,弾性慣性乱流の解析が困難であったが,Giesekus/FENE-Pモデルの両者では,数値的に安定しており長時間の弾性慣性乱流の時間進展を捉えることができた.十分長い時間進展をさせた後,発達した弾性慣性乱流は,Giesekus/FENE-Pモデルの間で異なる構造が形成される結果を得たが,共に弾性慣性乱流の特徴的な構造であるスパン方向に配列した大規模な渦列が形成されるという点では共通していた.また,弾性慣性乱流の伝熱特性の評価に向けて伝熱解析のためのプログラムコードの構築を行い,粘弾性平面クエット・ポアズイユ流れにおいて伝熱解析するための準備が整った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

粘弾性の平行平板間流れのシミュレーションが伝熱解析を含めて順調に進んでいる.開始時当初では,既存のGiesekusモデルを適用した粘弾性流体のプログラムコードで解析を行う予定であったが,構成方程式モデルの依存性が弾性慣性乱流のシミュレーションでは懸念されるため依存性の検証を行った.構成方程式モデルの依存性が弾性慣性乱流の構造に影響することも鑑みて,弾性慣性乱流の遷移過程を複数の構成方程式モデルで精査している必要があることが分かった.また,熱解析のためのプログラムコードが完成し,熱伝達を評価するためにニュートン流体のヌセルト数からの粘弾性流体における増加量を算出することで,熱輸送の向上が弾性慣性乱流によってどれだけ見込めるか定量的に評価できるようにした.運動量輸送との関係を評価するために,摩擦係数とのアナロジー式から運動量と熱輸送の非相似性を評価ができるように準備ができた.
これらのプログラムで解析および評価を行い,国際学会発表の準備に取り掛かっている.その一方で,粘弾性流体であるポリマー溶液,界面活性剤溶液ではやや高いプラントル数であるため速度場の解析よりも伝熱解析の方が高解像度のシミュレーションが必要となる.そのため既存の粘弾性流体のプログラムコードで大規模な弾性慣性乱流のシミュレーションを実施するためにはプログラムの省メモリ化が必要であることも課題となる.

今後の研究の推進方策

今年度では,伝熱解析のためのプログラムコードの構築と複数の構成方程式モデルの実装を行い,弾性慣性乱流の流動・熱伝達特性の評価のための準備を整えた.次年度では,これらのプログラムによって解析と評価を行い,遷移メカニズム解明と伝熱促進のために知見を獲得する.粘弾性流体の水溶液を想定した高プラントル数のシミュレーションのためプログラムコードのメモリ削減のための改修を行う.また,弾性慣性乱流においてはチャネル中央部に組織構造が形成される場合も確認されているため,従来の壁面量に着目したニュートン乱流の熱伝達特性の評価指標では弾性慣性乱流の特徴が評価できない可能性が考えられる.そのため,混合促進の指標を用いて評価していくことも検討する.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Numerical study on an instability due to viscoelasticity in rotating plane Couette flow2023

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Nimura
    • 学会等名
      The 9th Asian Symposium on Computational Heat Transfer and Fluid Flow
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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