研究課題/領域番号 |
23K19120
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0302:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西川 哲理 京都大学, 化学研究所, 特定研究員 (70980829)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | SiC / 量子 / 炭化ケイ素 / 色中心スピン / 磁気共鳴 |
研究開始時の研究の概要 |
SiC中点欠陥の持つスピン情報を光電流により電気的に読み出す手法は、点欠陥を用いた量子センサ・量子情報デバイスと、既存の電子デバイスを融合させた応用に向け非常に重要な技術である。一方で光電流による読み出し効率は従来の光学的読み出しと比較して低く、改善が必要である。そこで、点欠陥が放出する光電流キャリアの輸送機構の詳細を研究し、SiC量子デバイス実現に向けた信号読み出し効率向上を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、SiC中点欠陥の光電流を用いた電気的スピン情報の検出による、SiC電気検出量子デバイスの実現を目指している。そのために、スピン情報媒体である光電流の効率的な検出に向け、光電流がSiC素子内部で輸送される機構の解明に取り組んでいる。 本年度では、素子内部全域に点欠陥が存在する集団系を用いて研究に取り組んだ。点欠陥スピンの検出においては、そのスピン状態の操作が不可欠である。この操作に必要なラジオ波を印可するため、先行研究においては素子電極近傍に配置した銅細線をアンテナとして用いて行っていた。しかし、この手法はアンテナの位置再現性や素子の微細化に難点があった。そのため、本研究では微細加工技術を用いて素子の電極から約10マイクロメートル離れた位置に幅約10マイクロメートル・厚さ約100ナノメートルのバー型構造を作製し、アンテナとして用いた。このアンテナを用いた場合、印可ラジオ波においてスピン状態操作に関わるベクトル成分が素子内部の深さ方向において不均一性を持つことを利用し、素子内部への光電流生成用レーザーの集光深度を変化させたところ、信号強度は焦点深度に応じて大きく変化することが再現された一方、光電流信号として観測されるRabi振動周波数が焦点位置に寄らず一定であることが分かった。また、孤立した欠陥を有する素子を作製し光電流観測を行い、素子作製における電極構成において重要な知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた、素子内部の任意の位置に欠陥を位置選択的に導入するためのプロセスが遅延しており、計画に未達項目がある。これは欠陥導入のために用いるマスク材料のSiC上での加工条件の決定ができていないためである。他方、従来の微細加工装置では困難である大きさのSiC小片上への微細加工のプロセス条件自体は確立しており、これを適応し条件の決定を行う。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた結果である、光電流検出で得られたレーザー集光点に依存しないRabi振動周波数の物理的解釈の検討のため、より空間分解能の高い顕微鏡装置を用いた光測定の結果と比較し、光電流検出で得られた信号が素子内部のどの位置から生成されているのかを検討する。 さらに素子内部への位置選択的な欠陥生成実験を進め、三次元的な光電流輸送プロセスの解明を試みる。
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