研究課題/領域番号 |
23K19122
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0302:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿部 岳晃 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教(常勤) (40983424)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | フレキシブルエレクトロニクス / マイクロアクチュエータ / 有機電気化学トランジスタ / ソフトロボット |
研究開始時の研究の概要 |
近年、Brain-machine Interface (BMI)が脳疾患の新たな治療法として研究されている。特に、脳血管に留置するタイプのBMIは、低侵襲なBMIとして注目されている。このBMIは、カテーテルで脳内に輸送されるが、デリケートな血管網を傷つけずにカテーテルを挿入するためには、熟練の医師による操作が必須である。そこで、カテーテルの先端が血管に合わせて変形すると同時に、血管への接触を検知することができれば、安全に挿入できる。本研究では、このようなセンサ付アクチュエータシステムを線状ソフトロボットと考え、微細加工技術と生体計測に適した有機電気化学トランジスタの伸縮化により実現する。
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研究実績の概要 |
本研究では、センサとして利用する有機電気化学トランジスタの伸縮化とアクチュエータの開発、センサとアクチュエータのカテーテルへの統合を目指している。2023年度は主にセンサの開発を目的として、伸縮化に適した材料開発やデバイス構造の最適化を行った。 まず、有機電気化学トランジスタの半導体材料として利用される導電性高分子に有機溶媒などを添加することにより、ネットワーク構造を制御することを試みた。添加する物質の最適化により、ネットワーク構造の調整が可能となり、単体で100%以上の歪耐久性を得られることを見出した。また、配線も伸縮性を持つ必要があるため、銀ナノワイヤを用いて、配線の伸縮性も確保した。これらの材料をポリマー基材に実装することで、有機電気化学トランジスタを構築した。ここで、伸縮時のポリマー基材の変形により、トランジスタの半導体層が破損することが確認された。そのため、基材の有限要素法による解析により、半導体エリアへの応力を緩和する構造を考案し、デバイス全体として100%歪におけるトランジスタとしての動作が可能であることを示した。さらなる特性向上のためには、実装時の材料の膜厚などの調整が必要と考えている。また、アクチュエータの開発も進めており、1軸ではあるものの、シリコーン系の材料を利用した空気圧アクチュエータの開発に着手している。また、実験と有限要素解析により、アクチュエータの微細化に必要なポリマーの機械的特性が判明しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた有機電気化学トランジスタの材料検討や伸縮化に対し、半導体および配線材料の伸縮化と実装方法を確立し、カテーテルへの実装が可能なレベルのデバイスが構築可能となった。また、今年度着手予定であったカテーテルシステムの実装や解析にも着手しており、当初の予定に沿った、おおむね順調な進展があったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、開発したセンサの特性向上を図るとともに、アクチュエータの開発を進めていく予定である。また、これらの要素技術を統合にも着手する。アクチュエータは、有限要素解析を進め、微細化に必要な最適な材料の検討を進めていく。また、同時に実験での特性評価も行いながら進める予定である。アクチュエータの基本特性の検討が終了した段階で、センサとの統合を行い、さらなる微細化を進める。
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