研究課題/領域番号 |
23K19148
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0303:土木工学、社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
渡部 慎也 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 助教 (60980472)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 非破壊検査 / 有限要素法 / 維持管理 / 免震ゴム支承 / ゴム支承 / 有限要素解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,内部に劣化や損傷を有する免震ゴム支承の機械的特性に着目する. 免震ゴム支承は,国内の橋梁において多数採用されているが,初期に導入された免震ゴム支承の一部では経年劣化が進行し,機能の低下が見られる. 免震ゴム支承の健全度評価手法には,ひび割れなどの外観評価が一般的であるが,定量的な健全度評価手法として不十分であるのが実情である. 本研究では,免震ゴム支承内部鋼板に強制的な変位を与え,ゴム支承表面に生じた変状をデジタル画像相関法により評価し,供用中の免震ゴム支承内部の劣化や損傷状態を非破壊的にかつ視覚的に検出する手法の開発を目的とし,土木構造物の長期的な安全性担保への貢献を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,免震ゴム支承内部に生じた損傷や劣化について,非破壊的な検出方法の開発を行うことである. 免震ゴム支承は,上部構造を支持する役割を持つと共に,橋梁全体の固有周期を長周期化させることにより,地震発生時には共振を避け,減衰性能により震動エネルギーを散逸させるといった,免震の役割を併せ持つ.代表的なゴム支承の一つである天然ゴム系積層ゴム支承は,ゴム材料と鋼板等を交互に積層して加硫接着させたものであり,上下鋼板,内部鋼板,ゴムからなる.しかしながら,ゴム材料は熱やオゾン,紫外線などといった種々の環境因子によって材料特性が変化することが知られており,実環境における免震ゴム支承は,供用年数と共に劣化し,性能が低下することが問題となっている.特に,内部のゴム鋼板の積層箇所については,それぞれが異なる材料であることから,劣化の際に,層間の剥離が生じることが考えられるが,外観評価は不可能に近い. 2022年度においては,本課題を求解する上で必要となる,劣化したゴム支承の変形性能評価のために,免震ゴム支承のプロトタイプ構造モデルを3次元有限要素モデルでモデル化した.モデル化にあたって,各要素の材料物性(縦弾性係数,ポアソン比)はオープンデータベースの実験値をもとに定め,それらの構成則は超弾性(Ogdenモデル)とした. 上載荷重下での非破壊的な検出を目的としていることから,数値解析では,死荷重相当の上載荷重を面圧として与え,水平方向に強制変位を与え,表面のひずみ分布や応力分布を導出し,健全なモデルとの比較による性能評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度「研究実施計画」をおおむね満足するような,免震ゴム支承のプロトタイプ構造モデルを3次元有限要素モデルで構築することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
実橋梁において使用されていた免震ゴム支承を用い,解体調査に先立ち,せん断載荷試験 を実施し,劣化した免震ゴム支承の力学的特性の解明を行う.また,内部鋼板とゴム層を分離解体の後,エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)により内部鋼板の成分分析を実施し,層間剥離箇所の同定を行う. また,2023年度に実施した数値実験をベースとした免震ゴム支承試験体の製作を行い,実験を実施する.数値実験から,水平方向荷重を与えた際に,デジタル画像相関法により検出可能な大きさのひずみ分布が生じることが確認されたことから,本研究では,内部損傷の検出に同手法の適用を予定している.
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