研究課題/領域番号 |
23K19163
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0304:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
小橋 知季 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (90980996)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 薄板軽量形鋼 / 曲げ座屈 / 鉄骨造 / ドリルねじ / リップ溝形鋼 / 座屈 / 組立材 / 接合 |
研究開始時の研究の概要 |
薄板軽量形鋼は、複数の形鋼をねじ接合した組立部材として、建物の柱梁や壁パネルの枠材として使用される。組立部材では、ねじ接合により形鋼同士が一体化することで、組立部材を構成する形鋼単体の構造性能を足し合わせた値よりも高い耐力の発揮が期待できる。しかし、この一体性を考慮できる組立部材の設計法は未だ確立されていない。そこで本研究では、ねじによる一体性を加味するための設計指標を新たに構築し、特に軸圧縮が作用する組立部材について、その合理的な設計法を提案する。
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研究実績の概要 |
薄板軽量形鋼は板厚2.3mm未満のめっき鋼板から製造される鉄骨部材である。部材の軽さを活かし、従来の鉄骨造よりも軽い建物を設計することが可能であり、省材料と高施工性の両立をした鉄骨建物への応用が期待される。近年、薄板軽量形鋼を適用する建物の規模が大きくなったことで、ドリルねじを用いて形鋼同士を一体化させた組立材の活用事例が増えている。しかし、ドリルねじ接合された組立材に対する設計技術は未だ成熟しておらず、ねじによる一体性を無視した不経済な部材設計を余儀なくされている。本研究では、この組立材に対する合理的な設計法の確立を目的とし、ドリルねじによる一体性を考慮した組立材の部材耐力評価手法を構築し、構造実験を通じて提案手法の妥当性を明らかにすることを目的としている。 初年度は、2軸対称の断面形状を有する組立材を対象とした軸圧縮実験を実施し、これまで構築を進めてきた組立材の設計法の妥当性検証を推進。弾性/非弾性の影響、局部座屈の影響、ゆがみ座屈の影響、の影響、組立材を構成する形鋼の個数、ドリルねじの本数に着目した実験を実施し、ゆがみ座屈による影響を受けない組立材では組立てによる効果が部材耐力にも顕著に表れること、対してゆがみ座屈による影響が著しい組立材では、組立てによる効果は殆ど期待できないことを明らかにした。また組立てによる効果が期待できる組立材について、本研究で提案する設計法によって部材の軸圧縮耐力を精度良く評価できることを明らかにした。 次年度は、本研究の対象を偏心圧縮が作用する部材に拡張する。薄板軽量形鋼では、金物を用いた接合仕様を有する場合も多く存在する。本研究で提案する設計法の適用範囲を組立材断面の図心と荷重の作用点が一致しない部材まで拡張し、より汎用的な組立材に対する設計法の構築に繋げる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度予定していた計画としては、「弾性座屈および非弾性座屈を生じる組立部材に関する検証実験」、「局部座屈による影響の定量化と設計法の提案」の2つである。 前者の弾性座屈及び非弾性座屈を生じる部材については、部材長さを変化させた実験を行い、弾性座屈を生じる場合、非弾性座屈を生じる場合の双方について、提案する設計法が有効であることを実験で明らかにしている。 後者の局部座屈による影響の定量化と設計法の提案についても、最大耐力に至る前に弾性局部座屈を生じる部材を対象とした実験を実施。弾性局部座屈を生じる部材であっても、提案手法に基づき最大耐力到達時に部材断面に生じる軸圧縮応力度を評価することで、有効幅理論に基づく部材性能の定量評価が可能であることを実験で明らかにしている。 以上より、初年度は、当初計画した目標を達成したものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、組立材の図心と荷重の作用点が一致しない部材を対象とした場合について、偏心曲げによる影響を加味した設計法の構築を推進する。本研究が提案する設計法の適用範囲を偏心曲げが作用する軸圧縮部材まで拡張すると共に、偏心圧縮が作用する組立材の構造実験を行い、提案する設計法の妥当性明らかにする。
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