研究課題/領域番号 |
23K19169
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0304:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
小粥 祐子 崇城大学, 工学部, 准教授 (60398708)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 唐紙 / 大名 / 国許御殿 / 室内意匠 / 文様 / 色 / 図面 / 作事文書 / 御殿 / 柱間装置 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本住宅のうち江戸時代の大名が国許に建てた御殿を研究対象とし、御殿の室内に用いられた「唐紙(からかみ)」の用例を明らかにしようとするものである。唐紙の用例を明らかにするにあたっては、御殿の絵図、作事文書、唐紙見本帳などの資料を収集し分析する。さらに、各藩の国許御殿に用いられた唐紙の制作地を明らかにすることで唐紙デザインの地域性も見出したい。
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研究実績の概要 |
・本研究は、大名―特に外様大名と御三家―の国許御殿における「唐紙」の用例を明らかにすることを目的としている。「唐紙」とは文様を多色摺りした内装材のことである(地域によっては襖そのもののことを唐紙ということもある)。 ・江戸時代、城郭内に建てられた御殿は、政庁・藩庁である「表」=公的領域と生活空間である「奥」=私的領域とに分かれる。この公私の弁別は、その室内意匠にも影響を与えた。 申請者が継続的に研究している幕府の政庁であり将軍とその家族の住居である江戸城本丸御殿の場合、公的領域は障壁画に包まれ、私的領域には障壁画のほかに「唐紙」が多用される。特に主人の居室の場合「唐紙」は「天井」に用いられた。 これに対して、大名が国許に建てた御殿の室内意匠についてみると未だ明らかになっていないことが多い。「表」の公的領域は障壁画が多用されたであろうことは推測される(ただし、画題の選ばれ方などは幕府と同じであるとは言い難い部分もある)。しかし、私的領域については各藩の独自性や参勤交代による二拠点生活の影響が室内意匠に表れるのではないかと推測され、その一因として「唐紙」の用例が挙げられる。 ・2023年度は、江戸城本丸御殿、加賀藩金沢城二の丸御殿、尾張藩名古屋城二の丸御殿、盛岡藩盛岡城本丸御殿、薩摩藩鹿児島城本丸御殿の絵図(図面)および作事文書を調査した。 ・調査・研究の結果、加賀藩金沢城二の丸御殿については、『御殿の美』石川県立歴史博物館2023企画展図録に「金沢城二の丸御殿のインテリア ー「唐紙」という室内装飾美ー」という題名で寄稿した。また、本研究成果の一部は、共同通信社配信の連載記事『御殿のインテリア』(全8回)にも反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・本研究の調査対象としている史料は、主に絵図(図面)と御殿を建設する際に作られた作事文書である。本研究で明らかにしたい「唐紙」という内装材は、もともと京都で作られた唐紙が、江戸および全国へ流通し伝播していった。一方で、京都の職人が江戸へ移り住んで江戸ならではの唐紙文様が産まれた。また盛岡藩では藩独自に作った板木が伝わっている。藩によっては、こうした「唐紙」が各藩へ伝播していった過程が分かる唐紙の流通に関する史資料も見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた外様大名・御三家の国許御殿の史料を調査するのと並行して、事前調査に把握していなかった外様大名の国許御殿に関する史料所在確認を行ったところ、あらたに幾つかの藩において御殿の室内意匠に関する史料があることを確認することができた。本研究内の範囲で可能な限り史料調査に赴きたい。
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