研究課題/領域番号 |
23K19173
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
深谷 宏 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (70985697)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 精錬 / 溶融金属 / 耐火物 / 濡れ性 / 鉄鋼 / 鉛 / 熱力学 / 高温冶金 / 溶融酸化物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、金属材料の製造プロセス設計に必要となる「溶融金属と溶融酸化物間の反応の熱力学データ」を実験的に測定するための革新的な手法として「Fe-Pb系の2液相分離を利用した溶融金属と溶融酸化物との反応実験」を提案し、新手法の実施可能性と適用可能条件を実験的に検証する。具体的には縦型電気抵抗炉を用い、耐火物坩堝内で溶融Pb上に溶融Feと溶融酸化物を浮遊させ、溶融酸化物と溶融金属との平衡関係を測定し、熱力学パラメータを求めるものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、溶融金属(主に鉄)と溶融酸化物間の平衡反応の実験的測定において、従来実験手法では使用する耐火物によって測定可能な溶融酸化物の組成が限定されるという問題を解決し、任意の酸化物組成における溶融金属との反応を測定することを目的としている。具体的な解決手法としては、Fe-Pb系の2液相分離と鉛と耐火物との良好な濡れ性に着目し、溶融鉛上に溶融鉄と溶融酸化物を浮遊させ、耐火物と非接触の状態のまま溶融酸化物と溶融鉄とを反応せしめるものである。 本年度は第一段階として、溶融鉛上に溶融鉄を耐火物坩堝と非接触状態で浮遊させる実験条件の探索を実施した。耐火物坩堝としてはAl2O3(酸化アルミニウム)とMgO(酸化マグネシウム)を用い、それぞれ緻密質と多孔質の坩堝を使用した。鉛試料にはそれぞれの坩堝に深さ5mmが確保できる量とし、鉄試料には5gの電解鉄(純鉄)を用いた。縦型抵抗炉を用い、耐火物坩堝に鉛を装入してAr雰囲気中で1873Kまで加熱して溶融させ、鉄試料を溶融鉛上に添加させ、溶融鉄の浮遊状況の観察を試みるとともに、冷却後の試料を観察し、鉄と耐火物坩堝との接触状況を評価した。 溶融鉄の浮遊状況の観察においては、溶融鉛から大量の金属蒸気が発生し、縦型抵抗炉の上部フランジに設けた観察窓からは耐火物坩堝内を目視することは困難であった。 冷却後の試料を上部および、縦断面を切断して鉄と耐火物の接触状況を確認したところ、鉛が坩堝壁面をせり上がる様子は確認できたものの、鉛上の球状の鉄の一端が耐火物坩堝と接しており、いずれの実験条件においても完全な非接触状態の達成は確認できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
溶融鉛上に溶融鉄を浮遊させる実験手法の確立において、溶融鉛から発生する蒸気によって観察が困難となったことで、溶融鉛上の金属鉄の位置の調整ができなかったためである。また、冷却時に鉄が凝固してから鉛が凝固するまでに長時間要するため、溶融状態での位置関係が冷却後にも維持されているか確認することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Fe-Ag系では鉛と同様に鉄と2液相分離が発生する。また、銀の蒸気圧は鉛よりも低く、Fe-Ag系の2相分離を用いることで、高温での金属蒸気による観察の阻害を抑制できる可能性がある。今後は、Agを用いた溶融鉄および溶融鉄と溶融酸化物の浮遊の条件を探索する。
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