研究課題/領域番号 |
23K19177
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
野平 直希 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (20979299)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 形状記憶合金 / 双晶変形 / チタン合金 / 時効処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、申請者がチタン合金において見出した「時効による界面の固着現象」を利用した双晶変形強化機構の確立を目的としている。この界面固着現象は、熱処理温度および熱処理時間に依存して、双晶変形が阻害され変形応力が変化(増加)するものである。従来の金属材料の強化機構は転位の運動をいかに抑制するかを考えるが、双晶変形を示す合金における強化機構は未だ整備されていない。本研究では、双晶界面の固着を制御することにより、双晶変形を示す合金に対する強化機構として活用可能であると考え、チタン基形状記憶合金をモデル材として界面易動度の制御を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、チタン合金において見出された、中低温での時効処理によるマルテンサイト晶界面の固着現象を利用した、双晶変形強化の制御方法の確立を目指している。この界面固着現象は、熱処理温度の上昇および熱処理時間の増加により、双晶変形が阻害され変形応力が増加することが分かっている。従来の金属材料の強化機構は転位の運動をいかに抑制するかを考えるが、双晶変形を示す合金における強化機構は未だ十分に整備されていない。これらに対して本研究では、双晶界面の固着を制御することにより、双晶変形を示す合金に対する強化機構として活用可能であると考え、チタン基形状記憶合金をモデル材として制御を試みる。 本年度は、基準となる合金系としてTi-Mo基合金を用い、新たにMo濃度の異なる合金を作製し実験を行った。その結果、マルテンサイト逆変態温度以下における時効処理を施した場合は、いずれの合金においても同様の固着現象が確認された。また、変形応力の増加量がMo濃度に依存して変化することを明らかにした。これらの結果を基に、次年度に向けて異なる合金系としてMoに代わりCr, Fe, Ni, Nb基の合金を作製した。今後、添加元素依存性の観点から強化機構の解明を進める。また、Ti-Mo基合金において母相状態におい単結晶となる試料をFZ法により作製し、溶体化材の再配列(双晶変形)挙動を明らかにした。これにより特定の双晶界面に着目して変形組織を観察できるため、次年度は時効材についても観察を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の想定通り、広い組成範囲のTi-Mo基合金を作製し、他の組成においても固着現象が生じることを明らかにした。次年度に必要な合金も作製を終えており、予定通り円滑に実験を開始することができる。研究計画全体として概ね順調に進展しており、次年度終了時までに目標通りの成果が得られると考える。
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今後の研究の推進方策 |
主要な添加元素としてのMoに代わりCr, Fe, Ni, Nbを添加した合金を作製した。今後、これらの合金の時効固着現象に着目し、その傾向から強化機構を整理する。また、Ti-Mo基合金については、母相単結晶材を作製した。これらの変形組織のその場観察により、特定の双晶界面における固着現象を明らかにする。
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