研究課題/領域番号 |
23K19203
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0402:ナノマイクロ科学、応用物理物性、応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
増井 翔 国立天文台, 先端技術センター, 特任研究員 (40983044)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 超伝導周波数変換器 / 超伝導 / ミリ波 / マイクロ波 / アップコンバージョン / SISミキサ |
研究開始時の研究の概要 |
観測効率の向上を目指した次世代の電波観測装置には、回路の小型化や低消費電力化が重要である。我々は、変換利得のある2つの超伝導体―絶縁体―超伝導体(SIS)ミキサを縦続接続した低消費電力な増幅器や集積化可能な非相反回路を提案している。一般的に初段のSISミキサが回路全体の利得や雑音に大きな影響を与えるが、入出力で周波数が異なることや冷却下での測定が必要なこと、飽和レベルが低いことからSISミキサ1つ分の特性を正確に測定することが難しかった。本研究では、冷却下での高精度な校正や測定法を用いることで、SISミキサ単体の特性を直接的に評価する方法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度では、散乱パラメータや雑音温度の校正のための予備実験、そして測定精度の向上に向けた低反射損失な導波管型フィードスルーの設計を進めた。 SISミキサ単体の測定には、空気を通さない気密性を持ったフィードスルーや冷却部と常温部を接続する断熱導波管もしくは断熱同軸ケーブルを使用する必要がある。高精度な測定系を構築するためにはそれらの伝送線路の散乱パラメータを校正する必要がある。これまでの研究で導波管回路の散乱パラメータの校正については検証を進められていたため、本年度では同軸ケーブルを用いた冷却下での散乱パラメータ校正の検証を進めた。冷却下にてショート、オープン、ロードを接続することで、断熱同軸ケーブルなどの散乱パラメータを導出し、測定結果から取り除くことに成功している。 低反射損失な導波管型フィードスルーに関して、先行研究のフィードスルーを参考に設計を進めていたが、製造前に回路そのものに欠陥があることがわかり、回路の大幅な設計変更が必要となった。現在、新しいフィードスルーの設計を進めており、低反射損失な特性が期待出来る解析結果が得られている。また並行して、提案しているような回路を製造した実績のある会社と製造方法について議論を進めており、今後試作を進める。 雑音温度の校正では、新規導入した100 GHz帯の冷却ノイズソースを使用した冷却アンプ系の校正を始めている。現在、本ノイズソースを用いてシステムの利得と雑音温度の特性が得られており、測定結果の解析や妥当性を調査している。 上記の成果をもとに、次の段階としてSISミキサを用いた実験への移行を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高精度測定系の構築のために、低反射損失な導波管型フィードスルーを設計する必要がある。先行研究の低反射損失なフィードスルーを参考に設計を進めていたが、製造前に回路そのものに欠陥があることがわかり、回路の大幅な設計変更が必要となった。当初の計画では、本年度にフィードスルーを製造する予定であったが、上記の理由により製造に遅れが発生している。現在、新しいフィードスルーの設計を進めており、低反射損失な特性が期待出来る解析結果が得られている。 フィードスルーの影響により遅れている一方で、冷却下での同軸ケーブルの散乱パラメータ校正が達成出来ていることや、来年度進める予定であった雑音測定を先行して進めていることを鑑みて、やや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
次の段階としてSISミキサを用いた実験への移行を検討しているが、低反射損失のフィードスルーが未実現のため、現時点で高精度な測定系を用いた実験が難しい。代替案として、測定精度がやや不十分な可能性があるが、反射損失の良くないフィードスルーを用いて試験的な測定を進める予定である。
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