研究課題/領域番号 |
23K19205
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0402:ナノマイクロ科学、応用物理物性、応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
藤田 康彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50787059)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 赤外分光 / 表面プラズモン / 光熱変換分光法 / 原子間力顕微鏡 / 赤外分光法 / AFM-IR / 金属ナノワイヤー / 光アンテナ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、水平・深さ方向ともに10 nmレベルの分解能を有する革新的なナノ赤外分光法を開発し、材料機能性の発現に最も重要な界面・極表面の化学構造を、ナノで観て・ナノで 理解できる、次世代のナノ構造解析法の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、水平・深さ方向ともに10 nmレベルの分解能を有する新しいナノ赤外分光法「ナノワイヤAFM-IR法」の開発を目標としたものである。2023年度は、中赤外域でアンテナとして働く材料・構造の基礎検討を行った。 初めに、電磁場シミュレーションを用いて、貴金属ナノワイヤ構造と中赤外アンテナ効果の相関を検討した。シミュレーションの結果、貴金属ナノワイヤの共鳴波長は、主にナノワイヤのアスペクト比に依存することが分かった。特に、アスペクト比が10-40程度の貴金属ナノワイヤは、中赤外光と最も強く相互作用し、有意なアンテナ構造と見出された。 次に、アスペクト比10-40を有する貴金属ナノワイヤの作製を試みた。直接的な合成手段がなかったため、長い銀ナノワイヤを物理切断することにより、目的のワイヤ構造を得た。具体的には、市販・銀ナノワイヤ溶液の希釈溶液に超音波を照射することにより、溶液中でナノワイヤが断片化され、アスペクト比20-30を主成分とするワイヤ溶液が得られると見出された。 次に、作製した銀ナノワイヤの中赤外アンテナ特性の評価を試みた。既存の方法では、単一ナノワイヤレベルの評価が困難なため、サブミクロンレベルでアンテナ特性を評価できる手法を新規開発した。種々検討の結果、低放射ガラスの上にナノワイヤをばら撒き、光学型・光熱変換分光法を用いて対象のワイヤのスペクトルを取得することで、単一ナノワイヤの共鳴を反映する分光情報が得られることが分かった。同手法を用い、ナノワイヤ共鳴の赤外偏光依存性および長さ依存性を調べたところ、ナノワイヤの共鳴には強い偏光依存性が認められ、長さに応じて共鳴波長が系統的にシフトすることも確認できた。このことから、断片化した銀ナノワイヤは、強い赤外アンテナとして作用し、ワイヤ長で共鳴波長を制御できることが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、ナノワイヤAFM-IR法の心臓部である中赤外アンテナ材料に関する基礎検討を行い、実験と計算の両面から、銀ナノワイヤが強い中赤外アンテナとして作用することが見出された。その中で、単一ナノワイヤの中赤外アンテナ特性を評価できる新しい方法論も構築できた。研究は、当初の計画通り遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作製したナノワイヤをプローブに固定し、ナノワイヤAFM-IR法の動作検証を行う計画である。
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