研究課題/領域番号 |
23K19221
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0403:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
山崎 雅史 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (70955088)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞核 / 軟骨細胞 / メカノバイオロジー / バイオマテリアル / 脱分化 / 細胞骨格 |
研究開始時の研究の概要 |
軟骨細胞は,自己治癒が困難な生体軟組織に対する再生医療において重要な細胞ソースであるが,生体外で培養すると特有の性質を失う脱分化が生じ,治療効果が低減する.本研究では,脱分化の原因である細胞核の扁平化に着目し,培養皿上の軟骨細胞において細胞核の扁平化が生じるメカニズムの解明を目指す.アクチン細胞骨格から細胞核への力学作用が細胞核の扁平化の原因であるという仮説を,細胞内構造の3次元形態解析法と細胞内3次元牽引力計測法のアプローチにより実験的に検証する.得られた結果をもとに脱分化を抑制するための足場を設計し,軟骨細胞の品質を維持するための培養法を確立する.
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研究実績の概要 |
本研究は軟骨細胞の脱分化においてアクチン細胞骨格から細胞核への力学作用を明らかにし,高弾性率基板上で細胞核の扁平化が生じるメカニズムを明らかにすることを目標としている。当初の研究計画に沿って2023年度後期に実験を実施した。その結果、軟骨分化誘導を行ったマウス軟骨前駆細胞をモデル軟骨細胞とし、高弾性率基板上で培養することによって軟骨関連マーカの遺伝子発現が低下する脱分化を確認した。軟骨関連マーカの遺伝子発現が低下していく過程で,アクチン細胞骨格、および細胞核の3次元形態変化を確認し、脱分化が進行するにつれて細胞内の線維性アクチンが増大した。FRETをもちいた細胞核膜張力センサを遺伝子導入した結果、アクチン線維の増大に伴って細胞核膜に伝達される張力が増大していることが明らかになった。(この結果ついては第36回バイオエンジニアリング講演会にて発表を行った。)加えて、軟骨細胞が発生する張力の3次元的解析を行うため,基質弾性率の調整を行い接着した細胞が発生する細胞牽引力の3次元的解析を行った.その結果,ヒト皮膚線維芽細胞において細胞核近傍の基板表面との接着領域において細胞核へと向かう張力が発生していることを明らかにした。(この結果ついては第34回バイオフロンティア講演会にて発表を行った。)現在、軟骨前駆細胞においても同様に3次元的解析を行い、同様に細胞核へと向かう細胞牽引力の発生を確認し、第47回バイオレオロジー学会での発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って、軟骨前駆細胞に対する3次元牽引力評価、FRETによる細胞核膜に発生する張力評価、アクチン細胞骨格、細胞核の3次元形態解析の評価系を立ち上げることができた。また、株価細胞ではあるが、軟骨基質関連遺伝子の発現が低下する脱分化の減少をPCR法で確認し、脱文化の進行に伴って細胞核、アクチン細胞骨格の形態変化、および細胞核へ伝達される張力が増大していることを明らかにすることができた。一方で細胞核形態の3次元的解析については、高解像度の3次元画像撮影までは至ったがその後の解析手法が律速となっており、課題解決に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、細胞核の形態変化に関する評価指標を定め、細胞牽引力、FRET、細胞核形態の影響について明らかにする。加えて細胞核に伝達される力と脱分化の関係を明らかにするため、siRNA法を用いて細胞核とアクチン細胞骨格の結合の抑制が脱分化に及ぼす影響について検討し、細胞核形態を制御するための細胞外力学環境について考察する。
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