研究課題/領域番号 |
23K19244
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前島 咲 京都大学, 理学研究科, 助教 (40980652)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 芳香族ヘテロ環骨格変換 / フォトレドックス触媒 / 光還元的骨格変換 / 連続光誘起電子移動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では多様な芳香族ヘテロ環の迅速合成を指向した、フォトレドックス触媒による光還元的芳香族ヘテロ環骨格変換法を開発する。基質の事前活性化が必要な芳香族ヘテロ環の段階的骨格変換反応を凌駕する、新たなワンポット-光還元的骨格変換反応を確立する。具体的にはconPETとルイス酸の協働反応系を構築することで、 芳香族ヘテロ環の還元的開環を鍵とした新たな挿入型骨格変換反応を温和な条件下、一段階での実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、芳香族ヘテロ環の迅速合成を指向した、フォトレドックス触媒による光還元的芳香族ヘテロ環骨格変換法の開発をおこなっている。具体的には、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフランをモデル基質とし、フォトレドックス触媒からのconPET(consecutive Photoinduced Electron Transfer: 連続光誘起電子移動)を利用している。conPETにより芳香環の1電子還元を経る開環反応ののち、適切なホウ素、あるいはリン反応剤と反応させることで新たなヘテロールが光還元的に得られると考え、以下の検討を進めた。 (1)モデル基質の活性化に必要なルイス酸の検討:ヘテロ原子に強く配位すると想定される、ルイス酸の広範なスクリーニングを行なった。特に硫黄原子や酸素原子との親和性が高くconPETによる還元条件の影響を受けづらい、BF3OEt2などのホウ素ルイス酸を中心にスクリーニングを行なったが、ベンゾチオフェン環の還元的開環反応までを実現することができなかった。 (2)モデル基質の見直し:ジベンゾチフェンをモデル基質としていたが、より反応性の高いジベンソスルホランを基質としたところ、上述の条件で開環反応が進行し、求電子剤で捕捉できることが明らかになった。また、ジベンゾチオフェンオキシドを基質とした際は、想定とは異なるアプローチで活性化されることがわかり、現在はこれをモデル基質として芳香族ヘテロ環の新たな骨格変換法を探索中である。 上述で得られた知見より、次年度では当初の仮説とは全く異なるアプローチによる芳香族ヘテロ環化合物の骨格変換法の開発を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したように、当初の研究計画とは異なるアプローチでの芳香族ヘテロ環化合物の骨格変換反応を進めている。当初の想定研究とは異なる方法ではあるが、芳香族ヘテロ環化合物の光活性化を達成している。 特に(2)に記載したようにモデル基質を変更することで、興味深い変換反応を見出すことができている。これらの成果は次年度中に論文報告ができる見込みである。以上のことから、今年度実施した研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当研究はおおむね順調に進行しているため、次年度では以下の事柄について研究を遂行する。 (1)最適モデル基質と光活性化法の再検討:ジベンゾチオフェンやジベンゾフランなどルイス酸触媒共存下でも光還元的に活性化することが困難であることが判明している。したがって、種々の置換基修飾を行なったモデル基質を合成し、それらの光物性の解明も並行して進めることで芳香族ヘテロ環の新たな光活性化法を確立する。 (2)計算化学の活用による反応経路の予測:反応機構解析を進めるにあたり、実際の実験で得られた結果と想定反応機構の妥当性評価を計算化学により行う。
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