研究課題/領域番号 |
23K19248
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
政池 彩雅 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (90981845)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞周期 / 細胞接着 / グラフトポリマー / ホストゲスト相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞の同調培養は細胞周期の異なる時期に生じる現象への理解とその活用に重要であり、従来、DNA複製や微小管重合の阻害剤添加などの化学的手法が主に用いられてきた。しかしこれらの手法は細胞生存率の低下やゲノム異常の蓄積といった障害を誘発することが課題となっている。 本研究では薬物フリーな新規同調培養手法を確立するべく、細胞周期と細胞接着との関係に着目した。細胞接着形態はG1/S期移行やG2/M期移行の速度に関与する。そして細胞は周辺力学環境を感知し接着形態を適応させる性質をもつ。以上から、細胞周期の各時期の通過速度を操作し得る細胞接着力学可変な培養材料の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
細胞の同調培養は細胞周期の異なる時期に生じる現象への理解とその活用に重要である。通常、培養細胞は個々に細胞周期がばらついており、一般的には細胞周期を目的の時期で停止させる薬剤の添加にて同調させるが、過剰なストレスにより細胞死やゲノム異常の蓄積といった障害を誘発する場合がある。本研究では薬物フリーな新規同調培養手法を確立するべく、細胞周期が細胞接着に連動することに着目し、細胞接着力学可変な培養材料の開発を進めている。 申請者はこれまでの研究において細胞培養表面のマトリックス変形性によって細胞の接着形態を系統的に制御可能であることを明らかにしてきた。本研究では、外部刺激によってマトリックスの変形性を任意のタイミングで自在に変調し、細胞が自らマトリックスの変形性を感知して自身の接着形態を適応させることを目指している。このとき、細胞周期の進行に伴う細胞接着形態変化を模倣できれば、細胞周期を操作できるのではないかと考えている。この着想は申請者独自のものであり、薬剤による細胞周期の強制停止を行わず、細胞本来の接着環境適応能力を利用した同調培養が実現できれば、細胞周期に特異的な生命現象の理解とその応用利用がより一層進むと期待できる。 本年度は、申請者がこれまでに構築したグラフトポリマー基材に動的共有結合による架橋の導入を検討した。作製したグラフトポリマー基材の力学評価を行うとともに、細胞接着評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリマーブラシ表面のグラフトポリマー間に架橋を組み込むことで、培養基材表面の系統的な力学制御を達成した。また、この架橋を動的共有結合とすることで細胞接着形態を変調可能であることも確認できた。したがって、本年度予定していた細胞接着制御のための高分子表面設計方法の確立を達成できたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞接着形態の変化に伴い細胞周期の進行速度が変化するか検証する。これが達成した後、細胞周期の同期に有効な細胞接着形態の切り替え周期を検討する。
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