• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

精密オリゴマーの連結技術の開発と精密高分子医薬の合理的設計指針の獲得

研究課題

研究課題/領域番号 23K19249
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
研究機関九州大学

研究代表者

永井 薫子  九州大学, 工学研究院, 助教 (30978888)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード精密高分子 / 制御ラジカル重合 / マイケル付加反応 / 分子認識 / 高分子医薬
研究開始時の研究の概要

バイオ医薬品の代替品としての合成高分子は、分子量やモノマー配列が不均一のため機能や副作用の懸念から実用化されていない。そこで本研究では、分子量や配列が完全に均一な合成高分子(精密高分子)を合成する技術を開発する。近年、制御重合や分離技術の発展により、分子量や配列が均一な精密オリゴマーが報告された。しかし、その分子量は中分子領域が限界であり、バイオ医薬品のように高分子量を活かした多点の強い相互作用が再現できない。申請者は、様々な官能基を有するポリマーをナノ材料へ連結する技術をもつため、「オリゴマー同士を自在に連結することで」標的を多点で認識する巨大な精密高分子の実現を目指す。

研究実績の概要

タンパク質や核酸等からなるバイオ医薬品は、低分子医薬品と比べて薬効が高く副作用は少ないため薬剤分子として有用である。一方で、分子量が大きく構造が複雑で、熱的・化学的安定性も低いために大量生産は難しい。そのため、近年、バイオ医薬品に代わる新たな医薬として、安価に大量合成可能な合成高分子の利用が試みられている。しかしながら、既往の合成高分子は、分子量やモノマー配列が不均一なため機能が低く、副作用の懸念から実用化には至っていない。そこで本研究では、分子量や配列が完全に規定された合成高分子(精密高分子)を合成する技術を開発する。
本年度は、近年急速に発展してきた制御ラジカル重合やクロマトグラフィー技術により、モノマー配列、分子量さらに立体構造まで完全に均一なオリゴマー(精密オリゴマー)を合成することに成功している。本研究では、メリチンを標的分子モデルとして用い、メリチンとの静電相互作用および疎水性相互作用を期待して、3種類のモノマー(acrylic acidとtert-buthyl acrylamideとphenyl acrylamide)からなる精密オリゴマーを基本として技術開発を行った。いずれのオリゴマーにおいても、オリゴマー末端にマレイミド基とチオール基をそれぞれ提示することを達成したため、オリゴマー同士をチオールーエン反応によって連結させた。精密オリゴマーを連結することで分子量を増大させ、高分子化を目指している。メリチンとの相互作用評価も行い、オリゴマー配列の違いによる分子認識能の差を観測することができた。さらに、オリゴマーの立体構造由来の分子認識能の差も示唆される結果が得られたことから、オリゴマーの立体構造に着目した物性についても今後調査していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

分子量、モノマー配列そして側鎖の立体構造が一義的に規定された精密高分子は、精密オリゴマーを連結することで合成を試みている。精密オリゴマーの合成で要となる制御重合性と量体数分離およびキラル分離について、本研究では新規に合成した連鎖移動剤を用いたため、その重合性、安定性、分離条件が全く不明であった。3種類のモノマー(acrylic acidとtert-buthyl acrylamideとphenyl acrylamide)から合成されるオリゴマー混合物は、いずれも仕込み比通りの重合制御性を示した。また、逆相カラムクロマトグラフィーを用いて、モノマー数に基づく量体数分離の条件を検討した結果、1量体、2量体および3量体の分離に加え、2量体と3量体のジアステレオマーを分離することにも成功している。得られたオリゴマーの両末端をそれぞれ官能基導入するための反応スキームも考案し、非常に順調に研究が進んでいる。マレイミド基とチオール基をもつテレケリック精密オリゴマーの合成は世界初の報告である。チオールーエン反応によるオリゴマー同士の連結も検討しており、UPLC-MS分析によって評価を行っている。現在までのところ、モノマー配列の違いで標的分子(メリチン)に対する分子認識能に差が出ることは示唆されているが、オリゴマーの構造と機能との相関の解明には至っていないため、今後も検討していく予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、オリゴマーの化学構造に着目した活性や機能の違いについても評価を行っていく。これまでの検討の中で、オリゴマーのモノマー配列に依存した分子認識能の違いを観測し、さらに、オリゴマーの立体構造によって溶液中での自己組織化能に違いがあることも示唆される結果が得られている。したがって、オリゴマー自体の物性の評価をより詳細に検討していくことで、連結反応により高分子量化した際の物性にも違いがでるのではないかと期待できる。新たに、親水性モノマーのAcryloylmorpholineや正電荷をもつモノマーを追加することで、精密オリゴマーライブラリの拡張と連結による機能の発見を目指す。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Preparation of precision oligomer-DNA conjugates for oligomer drug discovery2024

    • 著者名/発表者名
      永井薫子・井芹将太・吉本敬太郎・星野友
    • 学会等名
      マテリアルDX全体報告会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] フェニルアクリルアミドオリゴマーのキラル分離と自己組織化2024

    • 著者名/発表者名
      永井薫子
    • 学会等名
      学術変革領域研究B高分子進化工学 第 2 回公開シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 制御ラジカル重合で作製したフェニルアクリルアミドオリゴマーによるキラリティー認識2023

    • 著者名/発表者名
      永井薫子・岩本日菜子・福田哲生・明石壮太郎・三浦佳子・小野利和・嶌越恒・星野友
    • 学会等名
      第33回バイオ・高分子シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 生体応用を指向した高分子修飾法の開発と材料設計2023

    • 著者名/発表者名
      永井薫子
    • 学会等名
      令和5年度九州地区高分子若手研究会・夏の講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi