研究課題/領域番号 |
23K19259
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0502:無機・錯体化学、分析化学、無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 結大 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特任助教 (90979147)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | MOF / ガス吸着 / ピリミジン / 11族金属 / 金属錯体 / 一次元ポア / 金属ナノ構造 / 超分子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1価の11族の金属原子が内壁に高密度に露出した直径1 nm程度の「メタリックナノ ポア」の構築を目指し、内壁に集積した複数の金属原子との多点相互作用に基づく特異的な分子吸着や、ナノポアをテンプレートとした異方的金属ナノ構造の精密合成に挑戦する。本研究を通して「金属イオンが表面に高密度集積した空間の機能」について、結晶構造解析や吸着測定などを通して網羅的に明らかにし、従来の細孔性材料と異なる点について明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では金属イオン部位が細孔表面に露出した有機金属構造体(Metal-organic framework, 通称MOF)の開発を行っており、配位数の少ないAuI, AgI(2配位構造を取ることが可能)を金属に用いたMOF合成を目指している。本年度はMOF合成に使用する配位子類の合成と、予備的なMOF合成の検討を行った。最初に、ピリミジンをベースとした剛直な構造をもつ多座配位子の合成に取り組んだ。結果として、4種のピリミジン型の新配位子(うち3種は報告のない構造)の合成に成功した。続いて、これら合成したピリミジン配位子を用いてMOF合成に取り組んだ。配位子とAg及びAuの塩を混合し溶液拡散法によって結晶合成を検討した結果、5種類の新規MOFの合成に成功した。これらのうち4種のMOFについては単結晶X線結晶構造解析によってその構造を詳細に同定することができた。一方で、得られた構造から使用した金属が2配位ではなく3配位した構造が得られており、空隙が少ない構造となっていた。今後ガス吸着が可能な多孔性材料へと発展させる上で、配位子の再設計を行い、MOFの再合成及び機能解析に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標とする有機配位子の合成は順調に進み、当初の予定以上の配位子の単離に成功した。一方で、MOF合成においては新たな構造を持つ化合物は複数種得られたものの、目的の機能を持ったMOFは得られていない。当該年度に得られた知見は次年度以降の分子設計や合成条件の選定に役立つものが多く、今後の研究の推進計画をより具体的に練ることができた。総括として、概ね順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた知見をもとに、配位子の再設計及び合成を先ず行う。前年度はピリミジン型の配位子に限定して合成を行ってきたが、これら配位子はMOF中で全ての配位点が機能することが少なかった。この理由の一つに、ピリミジン環の二つの窒素原子の距離が非常に近く、片方が金属に配位すると隣接するもう一方の窒素原子の配位力が弱まってしまうことが考えられる。また、これらピリミジン配位子は電荷を持たない中性の配位子である故に、合成したMOF中にカウンターアニオンが残存してしまうという側面があった。それらカウンターアニオンがMOF内のスペースに密に詰め込まれていることが、空隙率の少ないMOFが得られてしまう一つの要因であった。これらの知見を踏まえ、新たな配位子としてアニオン性のアセチレン型配位子を設計した。これらアセチレンの末端部位はAuやAgと親和性が高く、常温常圧下で配位結合を形成することができる。特にAuは還元性が非常に高く、通常のsolvothermal法などのMOF合成の条件では容易に還元されてしまうという特徴がある。本研究で設計した配位子を用いてこれを克服し、新たなAu-MOFの合成及び機能化を目指す。
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