研究課題/領域番号 |
23K19282
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0601:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藏田 靖子 岡山大学, 大学病院, 薬剤師 (10979107)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害薬 / 大腸炎 / irAE |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬 (ICIs) はがん治療に劇的な進歩をもたらしたが、免疫関連有害事象(irAE)の問題が増えた。特に、大腸炎は急速に悪化して消化管穿孔などの重篤な状況を引き起こすことがある。近年、腸内細菌叢とICIsの関連が多く報告されており、大腸炎に対して乳酸菌を活用することで、抗腫瘍効果を損なわずに炎症反応を抑制できる可能性がある。 本研究では、乳酸菌が大腸炎発症を回避することや腸内細菌叢への影響を明らかにする。さらに、ICIs誘発大腸炎モデルマウスを用いて、乳酸菌の予防効果や作用機序を検証する。このような解析を通じて、乳酸菌がどのようにirAEを改善するかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、乳酸菌が大腸炎発症を回避することや腸内細菌叢への影響を明らかにし、ICIs誘発大腸炎モデルマウスを用いて、乳酸菌の予防効果や作用機序を検証する。このような解析を通じて、乳酸菌がどのようにirAEを改善するかを明らかにすることを目的とする。 初年度は、WHOの副作用データベースVigiBaseを用いた薬効解析を開始した。VigiBaseは個別症例安全性報告を集めたグローバルデータベースであり、WHO加盟国から報告された3,300万症例を比較し、ICIs治療中の大腸炎における乳酸菌製剤の効果を評価した。 重篤な消化器症状(消化管穿孔・死亡など) の発生率を比較し、大腸炎の発症率が人種による違いや重症度の差も見られることから、乳酸菌製剤が重篤な副作用を回避させる効果を評価するには至っていない。今後は、ICIs治療開始後の日数で、乳酸菌製剤併用による大腸炎の発症率や重症度の変化を時系列解析によって分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、WHOの副作用データベースVigiBaseを用いた薬効解析を開始した。VigiBaseは個別症例安全性報告を集めたグローバルデータベースであり、WHO加盟国から報告された3,300万症例を比較し、ICIs治療中のICIs治療中の大腸炎における乳酸菌製剤の効果を評価した。重篤な消化器症状(消化管穿孔・死亡など) の発生率を比較したが、irAE大腸炎は頻度の高いイベントである一方、人種による違いや重症度が軽症である場合も少なくないため、重篤なイベントと腸内細菌の関連について詳細な研究が必要とされ、時間を要している。 2023年の研究活動スタートアップ支援の開始から半年という短期間であることもあり、若干多くの内容を1年目に計画しすぎたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、腸内細菌叢の同定が完了でき次第、NIBIOHN JMDに格納された、16S rRNAシーケンシングとショットガンメタゲノムシーケンシングの腸内細菌叢データに加え、食事や摂取栄養素、身体活動などの生活習慣に関する表現型メタデータを比較し、細胞クラスターの変化や遺伝子発現の変動を解析する。これにより、乳酸菌製剤による腸内細菌叢の変化が、免疫応答や炎症反応に関与する遺伝子の発現変動によってirAEの発症にどのように影響しているかを評価する。 さらに、免疫チェックポイント阻害剤関連大腸炎のモデルマウスを用いて、候補薬の有効性を検証していく予定である。
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