研究課題/領域番号 |
23K19290
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0601:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉富 廉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70981249)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 生体模倣システム / 肥満 / 食品 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の食品成分の機能を評価する細胞試験は、成分の腸管を介した作用および臓器間相互作用を考慮していない点や、生体の様々な臓器で生じうる多面的な抗肥満作用の検証が困難な点が問題である。そこで本研究は、経口摂取した成分の作用を再現した多臓器生体模倣アッセイ系をヒト細胞で確立し、複数項目の測定を行うことで、精度高く抗肥満成分を探索できるアッセイ系の開発を目指す。本アッセイ系の実現によりこれまで見逃されていた抗肥満作用成分の発見や動物実験のような種差による結果の乖離をなくすことが可能となる。
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研究実績の概要 |
肥満は体脂肪が体内に過剰に蓄積された状態であり、心血管疾患や肝がん、脳卒中をはじめとした様々な致死性の疾患に関与する。これまでに肥満を抑制する医薬品はいくつか上市されているが、食欲や脂質吸収の抑制など根本的な解決には至っていない。そのため、肥満の予防や抑制には、極めて日常的な行為である食事が重要な役割を果たす。近年、動物福祉や臨床予測性の観点から、世界的に動物実験代替法が求められており、細胞試験は動物実験代替に重要な役割を担う。現在の食品成分の機能を評価する細胞試験は、成分の腸管を介した作用および臓器間相互作用を考慮していない点や、生体の様々な臓器で生じうる多面的な抗肥満作用の検証が困難な点が問題である。そこで本研究は、経口摂取した成分の作用を再現した多臓器生体模倣アッセイ系をヒト細胞で確立し、複数項目の測定を行うことで、精度高く抗肥満成分を探索できるアッセイ系の開発を目指す。 本年度は、肥満に関連するヒト由来の4種類の細胞(肝細胞、腸管細胞、筋細胞、脂肪細胞)を購入し、これらの細胞が同時に培養できる有用な培地を選定した。また、実際にこれら4種類の細胞を連結した場合に、選定した培地が細胞の生存や活性に影響がないかを検証した。さらに、このアッセイ系に肥満誘導剤を使用することで、肥満様状態が観察可能かを確認した。 本アッセイ系の実現により、これまで見逃されていた抗肥満作用成分の発見や、動物実験による種間差異による結果の乖離をなくし、新たな抗肥満治療法の開発に大きく寄与する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の計画の通り、肥満に関連する細胞の購入ならびに、異なる細胞種を同時培養可能な培地の選定、肥満誘導により肥満が誘導されたかを細胞ごとのパラメータを指標に検討を行った。以上より、本年度の進捗はおおむね順調に進展と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、肥満の多臓器生体模倣アッセイ系の構築を引き続き行う。さらに、このアッセイ系が抗肥満成分の探索に有用であるかを確認するために、抗肥満作用が既に報告されている成分をポジティブコントロールとして使用し、その効果を検証する予定である。
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