研究課題/領域番号 |
23K19301
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0602:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島県立博物館 |
研究代表者 |
外村 俊輔 徳島県立博物館, その他部局等, 学芸員 (90980277)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | キバガ上科 / 分類学 / 系統学 / 産卵基質 / 地理的隔離 / 生態 |
研究開始時の研究の概要 |
主に腐植食者で構成されるマルハキバガ科が種多様性を獲得した要因の解明を目指す。国内の本科に属する5属に関して分類学的に再検討し、未記載種の記載等により基盤を整備する。また、本科の多様化要因として予想される①メス産卵基質による寄主範囲の制限と、②地史的な分断・孤立イベントによる地理的隔離の影響に関して、メス成虫の産卵基質と幼虫の利用資源範囲の探索と野外寄主との差異の検証、分子情報の抽出による種内及び種間の系統関係や遺伝的多様性の程度の検証により、国内において本科の腐植食性の5属の種分化において2要因が及ぼした影響について議論し、本科全体の種多様性獲得機構の解明のための足掛かりとする。
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研究実績の概要 |
本年度は昨年度に収集できなかったサンプルの収集に加え、分類学的研究、生態の観察を行い、国内におけるマルハキバガ科の解明を進めることができた。本研究の対象サンプルの日本本土における発生時期は主に5-9月であるため、本年度は本助成金が採択される9月以前までにサンプリングを終えた。 分類学的研究では、主に四国で採集を行ったほか、各研究機関からの借用標本の検討を行った。これまでほとんど四国で得られていなかった本科の種を採集し、DNA抽出用の新鮮なサンプルを蓄積することができた。国内で1種のみが知られていたPedioxestis属に関して、採集及び借用標本の検討により本州、九州より1未記載種が見いだされ、これまで不明であった幼虫の寄主記録についてまとめた。これらの成果を、日本昆虫学会にて発表した。Schiffermuelleria属、Promalactis属、不明属1種に関して、四国でのサンプリングを行い、標本および分布情報の蓄積を進めた。 産卵基質と幼虫の寄主情報について、複数の種について産卵行動と卵を確認し、データを蓄積した。Promalactis属の一種に関して、国内におけるシイタケの榾木樹皮の食害事例を短報として公表し、内容に関して日本昆虫学会で共同講演者として発表した。 地理的隔離に関して、標本調査や資料提供などにより、DNA情報を抽出するために必要な全国各地の新鮮なサンプルを入手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度はすでに収集した標本の再検討、野外採集による採卵と飼育などによって、生態学的研究、分類学的研究において一定の進捗があり、その成果の一部を学会発表や報文の形式で公表することができた。しかし、本研究の研究対象種の発生時期にサンプリングを十分に行うことができず、全国、特に県外でのサンプルの蓄積が少なかった。産卵基質および幼虫の食性に関して、Promalactis属に関して、複数種で新たに産卵基質の確認を行えたが、他属に関する産卵実験は十分に行えず、データの蓄積が遅れている。 交尾器の形態観察、撮影に必要な機材を導入し、プレパラート標本の解剖及び撮影を行い、データを蓄積したほか、DNA配列決定に必要な環境を整備しており、来年度に分子実験を行う体制を構築した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、5月から8月にかけて、北海道および中部地方のこれまでに不明種が確認されている地域のうち、前年度で調査ができていないかサンプル蓄積が不十分である地域にて野外調査を行い、本科の成虫及び採卵などにより幼虫を採集する。また、前年度に行えなかった3月における南西諸島での調査を行う。そのほか、引き続き四国でのサンプリングと産卵実験、寄主の調査などを行い、解析に用いる全国レベルでの標本の蓄積を試みる。 分類学的研究に関して、これまでに得られた成果の一部は国際昆虫学会で発表を行う予定である。地理的隔離について、DNAの抽出を遂行し、COIバーコード領域をはじめとして、複数の領域について配列決定を行い、種内及び種間の系統関係や遺伝的多様性の程度の検証を行うことで、多様化要因に関する考察を進めていく。これらの成果は、引き続き学会発表や査読付き学会誌での論文出版といった形式で公表する。
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