研究課題/領域番号 |
23K19302
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0603:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
相蘇 春菜 山形大学, 農学部, 准教授 (80836304)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 樹体支持機能 / 根元曲り / 樹体支持 |
研究開始時の研究の概要 |
積雪地域に生育する樹木でみられる根元曲りは、圧雪という条件下で樹木が倒れることなく真っ直ぐに成長するために樹木が発揮する支持機能であると考えられる。しかし、根元曲りがどのような木材の形成に裏付けられているのかについては不明な点が多い。本研究は、生物学的機能としての樹木の根元曲り形成の意義を明らかにするために、樹木の根元曲りを木材解剖学の視点から調査する。調査結果から、根元曲りが樹体支持機能の発揮にどのように関与しているのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
1年目は、二次木部の量と質の2つの視点から、スギの根元曲りの形成過程を明らかにすることを試みた。伐採した個体について、表面を研磨した円盤のスキャン画像を取得し、年輪幅を測定した。その後、根元曲りの湾曲部上側を正面として、複数個所から扇形試験片を採取し、容積密度を測定した。 一般に、幹や枝が湾曲した針葉樹は、あて材の形成により傾斜下側の偏心成長が認められることが多い。本研究で調査した根元曲りスギでは、傾斜上側の年輪幅が下側のそれよりも大きい値を示す傾向が認められた。容積密度は、すべての個体で傾斜下側の密度が増加しており、これはあて材形成の影響によるものと考えられた。 以上の結果から、根元曲り形成による樹形回復には、あて材による姿勢回復だけではなく、成長量の増加による断面積の確保といった、質と量の両方の要因が関与しており、通直部分とは異なる木材性質により特徴づけられることが明らかになった。 加えて、1年目の結果から、根元曲りスギの生物学的機能を解明するには、通常とは異なる性質を有する二次木部がいつ形成されているかを明らかにする必要もあると判断した。このために、年輪形成時期を解析することとした。現在、定期的にサンプリングを行い、この点の調査を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り、年輪幅と容積密度の測定が終了した。現在、より詳細な解剖学的特徴の調査を進めている。 当初の予定に加えて、根元曲り部の年輪形成時期についても明らかにする必要があると判断した。そのため、現在定期的にサンプリングを行い、形成層活動について調査を進めている。 現在までに得られた成果は、9月の国際会議で発表する予定である。当初の予定より進展していることから、進捗状況の区分を(1)とした。
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今後の研究の推進方策 |
形成された二次木部の質的な特徴をより詳細に調査することで、生物学的機能としての樹木の根元曲り形成の意義の解明につなげる。そのために、研究開始当初より予定している仮道管S2層のミクロフィブリル傾角の測定を進める。
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