研究課題/領域番号 |
23K19318
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0604:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久保田 滋裕 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (00983404)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 湿害 / 光合成 / ダイズ / 気候変動 / 畝立て |
研究開始時の研究の概要 |
集中豪雨や氾濫による土壌の過湿は、乾燥に次ぐ食糧生産を制限する要因であり、今後の気候変動によりその被害は深刻化すると予測されている。特に、日本のような湿潤気候では、土壌の過湿が畑作物の低収量の主要因として指摘されており、効果的な栽培対策技術の確立が必要である。そこで、本研究では、過湿下における光合成制限要因(気孔抵抗、葉肉抵抗、CO2固定反応)を経時的に調査し、既存の過湿対策がどのような要因でどの程度光合成を改善するかを定量的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
集中豪雨や氾濫による土壌の過湿は、乾燥に次ぐ食糧生産を制限する要因であり、今後の気候変動によりその被害は深刻化すると予測されている。そのため、土壌過湿が作物収量を決定づける光合成に与える影響の評価は、多様な植物種を対象に精力的に取り組まれてきた。一方で、光合成は、光利用、気孔抵抗、葉肉抵抗、CO2固定反応の4つのプロセスによって構成されており、土壌過湿下においてボトルネックとなるプロセスは明らかになっていない。本研究では、これまで土壌乾燥条件に適用されてきた光合成制限要因の定量的解析手法を用いることで、土壌過湿下の光合成速度が“どのような要因”で“どの程度”制限されているのかを定量的に明らかにすることを目的とした。 まず、予備実験として、ポット栽培したダイズに土壌の過湿処理を施し、光合成制限要因の定量的解析手法を適用した。その結果、過湿後2日程度はCO2固定反応が光合成を制限する主要な要因となり、その後気孔抵抗が光合成を制限することが示唆された。また、排水後3日程度は気孔による制限が維持されるものの、その後はCO2固定反応が光合成を制限する主要因となった。以上の結果から、湛水期間中および排水後の回復過程においても、光合成を制限する要因が時間経過に伴って変化していることを明らかにした。また、屋外実験圃場でもダイズを栽培し、光合成およびクロロフィル蛍光の計測を実施した。しかし、今年度は、豪雨がほとんどなく、土壌の過湿が光合成に及ぼす影響を明確に観察することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、これまで土壌乾燥条件に適用されてきた光合成制限要因の定量的解析手法を用いることで、土壌過湿下の光合成速度が“どのような要因”で“どの程度”制限されているのかを定量的に明らかにすることを目的とした。既に、温室内において過湿程度を制御した条件での、ダイズの光合成制限要因の定量的解析は完了している。また、屋外圃場においてもダイズを栽培し、主に開花期以降の光合成およびクロロフィル蛍光計測を実施した。一方で、本年度は、豪雨がほとんどなく非常にダイズ栽培に好適な環境であったため、土壌の過湿の影響を明確に観察することはできなかった。今後は、必要に応じて、降雨時に潅漑を実施することで、屋外圃場において強制的に過湿環境を形成し、過湿下における光合成制限要因の定量評価を実施する。同時に1年目に完了した実験に関する投稿論文の準備を進める。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の圃場実験では、豪雨がほとんどなく、土壌の過湿が光合成に与える影響を観察することはできなかった。そこで、今後は、必要に応じて、降雨時に潅漑を実施することで、屋外圃場において強制的に過湿環境を形成し、過湿下における光合成制限要因の定量評価を実施する。また、異なる施肥条件や畝立て条件を用意し、土壌の過湿対策の光合成の改善効果を評価する。同時に論文投稿に向けて、データ解析および論文執筆をすすめる。
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